第13話
☆☆☆
みんなが午後の授業を受けている間に恵一は自宅へと戻ってきていた。
キッチンへ向かって母親が作っておいてくれたおかゆを温めて食べて、それから自室へ戻るとゆっくりと今日撮影したものを見直していった。
リナの着替え姿。
そしてトイレ姿。
どれも後ろから撮影したものだったが、これはきっと誰もみたことのない写真に違いない。
恵一は最初にショーツ姿のリナをまじまじと見つめ、それからトイレで下着を下ろしているリナの姿を見つめた。
自分の体の内側がカッと熱くなるのを感じる。
大きく息を吸い込んで気持ちを落ち尽かせて、他の盗撮写真も確認した。
恵一は今日1日で何百枚というリナの写真を撮っていた。
その中にはクラスメートの女子と会話している写真も含まれている。
日常生活のワンシーンを切り取ったその写真を見ているうちに、ふと気がつくことがあって眉を寄せた。
リナと一緒に写っているのはB組の四条クルミだ。
クルミは金持ちの家のお嬢様らしく、その立ち振る舞いも他の生徒たちと少し違っていて目立つ存在だった。
写真の中の2人は普通に仲よさそうに会話しているように見える。
しかし連写で撮影した何枚かの中で、リナの表情が険しくなっているのだ。
一方のクルミは満面の笑みを浮かべて話かけている。
2人の間に感じる温度差は気のせいだろうか?
クラスメートといえど2人とは挨拶くらいしか交わしたことのない恵一は、ただ写真を見て自分の想像を膨らませることしかできなかったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます