第4話 大いなる厄災 その3

国家の中枢機関である連邦中央委員会。その重要会議や連邦党大会が行われる議事堂。


その中にある会議室にはすでに各共和国首脳や陸海空の高官たちが集まっていた


ここには、連共和国9つのそれぞれの国家名になった女性の肖像画が並んでいる


9姉妹という設定にしたことを今でも覚えている


その姉妹が今の9つの共和国の自治領主になった、みたいな感じだ


みな白髪で青眼の女性だ


これは作った俺の趣味が強く反映されている


さっきのメイドもそうだったように俺は銀髪や白髪が好きだ


こういう細部も徹底的に作りこんだのをひしひしと思いだす


軍人は皆俺に敬礼を向けてくれるが、そんな大した人間じゃないんだよと思いながら軽く握手していく


褐色メイドに導かれたまま、指定された席に座る


この会議室のテーブルで一番目立つ中央の席だ


不思議と緊張はしない


鼓動も早くならず、手汗も出ない


頭がすっきりしている状態だった


そんな状態で補佐官らしき人物が幹部たちの前にある書類を置いていく


俺の元にもその書類が来た


それは簡易的に描かれた連邦周辺の地図だ


ここで一つ説明を入れておくと、この連邦には各共和国で独自に動ける共和国軍と連邦全体をカバーできる連邦軍が存在する


確か最初期は連邦軍が110万人ほどで各共和国軍には2万人程度を設定したはずだ


もしかすると軍の再編成が自動的に行われているかもしれない


よって即座に対応できる共和国軍がすでに周辺を捜査してくれていたのだ


その地図には我々の周り1000km以内に人工物は発見されず、最も南方に位置する共和国・リリーより南には巨大な湖もしくは海が一面に広がっているという


この現状を受け幹部らが口を開け始める


「明らかに異変が起こっていますね首相」


最初に喋ったのは農業水産大臣の男だ。


確か名前はイヴァンだったはず


「何か問題がありましたか?」


そう聞くと書類の5ページ目を見てくださいと言われた


そのページには温度湿度の変化調査という項目があった


そこには北方が寒く、南方が熱くなるという予想が建てられていた


「これは明らかに異常ですね、早急に対応するべきです」


「同感です。でしたらこの件は私に一任してもらってもよいですか?首相。来年度までの食料自給率に強く影響があると思いますので」


俺は迷わずお願いしますと言った


「では部下に連絡を取りますので少し席を外しますね」


そういってイヴァンは席を立ち会議室周りを警備している兵士に話しかけていた


それを見てすぐに俺に話しかけてきたのが陸軍最高幹部の一人であるクトゥバ大将だ


白髪に虎のような強い眼光を持つ軍人だ


厳格な感じに設定はしたがそれ以外はまるで覚えていない


「首相、もし何らかの形で周辺地域に変化があり、生物がいない状態であるならば早急に領土拡大に動き出すべきです」


それは俺も同意見だった


この国はランドパワーを大前提に置いた国家であり、海軍力はそこまで強くない


ん?待てよ。もし周りの地形が変化したのなら港や油田地帯は無事なのだろうか


俺はクトゥバ大将との件を、共和国軍と協力して全面的に捜査を行うように頼んだ


それと会議室にいた中央経済相の人間に油田地域の産出量に問題はないか関係業者に連絡するように頼み、海軍大臣であるヴェルハーダーに全連邦の港に異常はないかと調べるように言った


他に異常はないか、これからの方針を会議室にいる人間で決めた


だがまずは、この異変に我々は慎重に対応しなければならないということだ


未だに自分がこの国のトップという実感はない


でも俺が青春をかけて作った国と言うのも事実だ


必ず良い方向に導いて見せる


会議室から見える空を見て俺はそう誓った










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