~薔薇の王座~乙女ゲームの悪役魔女に転生した件

@hoshizorahare

乙女ゲームの異世界に拉致された

「ハハハ、このゲーム本当におもしろい!」


夏休みに入ってからはとても暇で、コロナのせいでバイト先にも行けなくなり、暇つぶしにゲームをしてみた。Webページを開いて「ゲーム」を検索したところ、すぐに一つの結果にひきつけられた。


「薔薇の王座」というこのゲームは、適切にバラの花びらのアイコンが付いている。紹介をよく見たら、それは女性恋愛ゲームであることに気づいた。


このゲームは、合計5人の攻略対象がある──それぞれは1つの花びらを代表しており、キャラクターの立絵も超カッコイイ!

しかも無料なんで最高!!


当時の私は、微かにも気づかなかった。

どうしてこんなに派手なゲームはただで遊べられる──このことの異常に。


1週間連続ゲームをしてしまい、やっとすべての攻略ルートをクリアし、隠しルートが解放されるその時──

突然、コンピュータの画面の中からまばゆい白い光を放って、ノイズが走り始める。


「な、なんだっ!?」

私は、思わず叫んだ。

そしたら、部屋の全てが砂嵐に吞のまれるようになって、ノイズはなおも激しくなり──


──その刹那。

頭には、バツンッと音を立てて、目の前は真っ暗になった。

ブラックアウトしていく意識の中、私の腕は誰かに掴まれているような気がした。

……


 

目の前は奇妙な暗闇だ。

見渡す限り、少しも光が見えない。

私はゆっくりと手を上げ、奇跡的に自分の手を見ることができて、びっくりした。


どうして私の手が見えるの? でも、ここに光があるとしたら、周囲の景色が見えないのはなぜだろうか。

ここはいったいどこなの?

ゲームをしていたことは、はっきりと覚えているのに……

眉をひそめて、その時の光景を必死に思い出す。


そうだ、あのゲームはもう最後段階に突入したところなんだ。パソコンの画面に突然まばゆい白い光が出て、それから私は意識を失って気絶してしまった……


それで?

私が気絶した後、誰かに拉致されたの!?

恐怖は、一瞬に心の中であふれだす。

暗闇の中で長い間模索して歩いていたが、ここは四方ががらんとしていて、何もなかった……


「誰!?いったい誰のいたずらなの!?」

耐えきれず、暗闇に向かって大声で叫んだが、私の声は周りの闇に吸い取られたよう、エコーも全くなかった。


──エコーがないというなら、私がいる場所がとても広い場所はずだ。狭い密室ではない。

私は、その不気味な暗闇に目を大きく開く。

ここはいったいどこ?頭がぼんやりして、気絶したときのまぶしい白い光を考えると……


「ゲームクリアおめでとう!」

考え込んでいる時、一つの声が私の耳元に響いた。

「あなたは、このゲームのラッキープレイヤーに選ばれたよ!」


「うわわわわわわわあああああ!!!」

私はびっくりして、叫んだ。

後ろに振り返ったが、依然として暗闇だった。


「あなたは誰だ?ここはどこなの!?」

両腕を抱きしめて、その声が来る方向に鋭く尋ねた。


「僕?僕はこのゲーム──「薔薇の王座」の世界の神様よ」

その声が再び響く。


今回ははっきりと聞こえた、男の子供の澄んだ声だ。

いたずらっぽく笑っているけどね。

──この笑い声は、私をもっと憂鬱にさせた。


もう、ゲームの世界の神って何?

私は、全体が総毛立つような戦慄を感じた。

しかし今のところこれが関心を持つべき問題ではない。私は目を細めて、拳を握って恐怖の気持ちを抑え、なるべく平穏に尋ねる。


「さっき言った、ラッキープレイヤーってどういう意味?」

ラッキープレイヤーだから変態に拉致される?


「僕の試練に合格したってことよ。いま君は本当の「薔薇の王座」の世界に入ったんだ……これは超ラッキーじゃない?」


「待って!」

私は、聞けば聞くほど分からないようになる。

「申し訳ないですが、あなたの話がどういう意味なのか分からないけど」


その声は、また低く笑って、そして説明した。

「僕の意味は簡単だよ。君がパソコンでしていたゲームは視覚と聴覚を楽しむ仮想型ゲームだけ、ホントの『薔薇の王座』は体感のあるリアルゲームだよ」


リアル、ゲーム……

私は、恐怖で顔の色は青ざめた。


「この話はいったいどういう意味なの!?」

「ゲームが始まったら自然にわかるさ、一つだけ覚えておいていい──君が最終ルートをクリアした後、元の世界に戻れる。でも、もしゲームをクリアできないなら、君の魂はこの世界に閉じ込められ、永遠にこのゲームの中から出られないのよ……」


「永遠に閉じ込められって何!お願い、私を解放して!」

私は全身の冷や汗に帯びる。


だめ!

自分が先にパニックに陥ってはだめだ!

こんな時こそ、冷静に直面しなければならない。

そう自分に言い続け、私は深く息をした。


「君はやはり強いんだ。それはいい……」

私の対処を見ていたか、空気に浮かぶその声は軽く感嘆した。


「あなたはいったい──」

話そうとするとき、私の体は突然大きなブラックホールに吸い込まれる。

白い光に目が触れた時、再び知覚を失った……


「さぁ──ゲームをはじめよう♪」

暗闇の中、悪戯っぽい子供の笑い音だけが聞こえてくる。




こんな噂をきいたことがあるだろうか。


ネット上には、とある乙女ゲームが突然現れた。

すべてのルートをクリアしたら、プレイヤーがゲームの異世界に吸い込まれ、本格的な試練が始まる。

隠しルートを開き、最後のコースを通過できるプレイヤーだけが、ゲームから解放され、元の世界に帰れる──という噂。


あなたは、聞いたことがあるだろうか。

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