焦らし

 「つまり、乱暴な言い方をすると、電話がマントラゴラで、メールがまんだーらなんじゃないか?」

 「なるほど、そうね!分かったわ!」


 「分からんのじゃ。」

 耳元でシャンシャンされる。

 嫌がらせが、あからさまになってきたな、横浜銀河よ。

 「ちょ、あの…あんまりよく分からんのだが、携帯電話をかける時って、何か見えたりするのか?」

 シャンシャンをかいくぐりながら、聞いてみる。

 「電波が飛んでいるのが見えのじゃ。」

 「へえ、凄いな。それは、霊魂と同じようなもんなのか?」

 「そうじゃ。」

 「じゃ、やっぱり霊魂を流用ってことか。電気自体、元々生命ってことじゃないかな…電話をかける時って、番号毎に違いはあるのか?」

 「波長が違うのう。」

 「波長…プラスとマイナスが入れ替わる長さだよな…それで、その数を表すのが、周波数。ラジオとかで合わせるやつだよな。それで、敵の邪魔っていうのは…電波ジャックみたいなもんじゃなかろうか?」

 「そうね!そうだわ!敵の動向が鮮明になってきたわ!」

 中日如来から錫杖を向けられて、圧を加えられる。

 しかし、横浜銀河からもちょっと睨まれてる気がする。

 おお、とうとうご本人が登場だぜ。


 「…また、乱暴な言い方をすると、全部プラスとマイナスの組み合わせ、つまり磁石みたいなもんじゃないかと思うのだが。」

 中日如来を無視して話を続ける。

 頭がごちゃごちゃするから順番に考えないと分からなくなるんだよ。

 決して、横浜銀河に嫌がらせしたいだなんて思ってない。

 「よく知らんのだが、パソコンの中にあるHDDは、磁石でそのプラスとマイナスを読み取って、音楽を鳴らすとかのデータの読み取り。また、磁石で、プラスとマイナスを並び替えて、データの書き込みをする…0と1やらも、プラスとマイナスでいいんだよな?」

 「そうね!それでいいと思うわ!」

 「…だから、暗示、人間の行動を変えるのも、その磁石で、引っ張って変えてるんじゃないか?」

 「ー!」

 ヨーデルの人が、口を噤んでしまう。

 仕方ない。

 中日如来に向き直る。

 「梵っ字ってのは、例えば普通の携帯電話の電波なんかとは何が違うんだ?」

 「何だか、強いのじゃ。」

 「強い…さっきの磁石…磁力が強いってことでいいか?」

 「そうじゃのう。引っ張る力が強いのじゃ。」

 「だから、情報が変えられてしまう、操られてしまうんじゃないか?…梵っ字を作ったのは、誰なんだ?」


 「釈っ迦じゃ。」

 

 

  


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