第2話 動画サイト(1)

 翌朝。登校した子竜を玄関で待ち受けていたのは、優をリーダーにした3人組。

「先輩って、ちょー暇なんすねー……」

「うるせえ!」

 優の話を聞きつつ、しんちょうに下駄箱を開けるが、何もない。

「インチキ霊能者のお前に有名人になるチャンスをやるぞ!」

「は?」

「実はこの学校に眠る秘密をあばくんだ! だから手伝え!」

「すいません。ヒマじゃないんで」

「ああ!? 人が下手に出てりゃ調子にのりやがって!」

「――やめなさい! 鈴木くん! あなたという子は、人の嫌がることはやめなさいということが、分からないの?」

 その声に優はピタッと動きを止める。恒岡先生だ。

「邪魔すんなよ、ババア!」

「きゃっ」

 優がおしのけると、先生が尻もちをつく。

 無視した優たちは、さっさと去っていった。

「土御門くん、大丈夫?」

「先生こそ、大丈夫ですか!?」

「私のことよりも生徒であるあなたの方が心配よ! ケガはしてない?」

 先生は、子竜の腕や足をさわる。

「せ、先生、やめてください……」

 周りの目をあつめすぎて、恥ずかしくなってしまう。

「あ、ごめんなさい。私ったら」

「俺ならぜんぜん平気ですから、立ってください」

「もう情けないわ。助けるつもりが……」

「先生こそ、大丈夫ですか?」

「ええ。お尻を少しうっただけだから……」

「それじゃ俺は行きます。ありがとうございます」

「鈴木くんたちに何かされたら、すぐに教えてね」

「はい、分かりました」

 子竜は先生に頭をさげ、教室に向かった。

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