推し活リサイクル
かなたろー
推し活リサイクル
「きゃああああああーーユウリーーーーー!」
アタシは地下アイドルの追っかけだ。
地下アイドルの
今日も親友の
「ねえ! 見たぁ? ユウリ、アタシに向かって手をふったよ! もう死んでもいい」
「よかったねー、カエデちゃん」
江戸川ちゃんは文句ひとつ言わずアタシの推し活につきあってくれる大親友だ。
語っても語りつくせない、ユウリの素晴らしさを滔々と語っても、ずっとニコニコしながら聞いてくれる大親友だ。我ながら、いい友達を持った。
ああ、ワタシはなんて幸せモノなんだろう。
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「ねえ! 見たぁ? ユウリ、アタシに向かって手をふったよ! もう死んでもいい」
「よかったねー、カエデちゃん」
カエデは、自分の生活のすべてをかけて地下アイドルを推して押しておしまくっている。
ワタシはそんなカエデの追っかけだ。
特に、アイドルに手を振ってもらったときに見せる、カエデのスキだらけの恍惚な表情を見るとぞくぞくする。
そしてその恍惚な表情を、でれんでれんな表情を、アイドルではなくワタシに見せつけてくれる。特等席で見せつけてくれる。そんなカエデの頭をナデナデするのが、ワタシの生きがいなのだ。つまりは、ワタシの推し活なのだ。
ああ、ワタシはなんて幸せモノなんだろう。
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わたしはアイドルだ。アイドルといってもファンはたった一人しかいない。
今日もその女の子は、客席の最前線でペンライトをふってくれている。
わたしは、そのファンに、はじけんばかりの笑顔で手をふった。
「ねえ! 見たぁ? ユウリ、アタシに向かって手をふったよ! もう死んでもいい」
「よかったねー、カエデちゃん」
ああ、たまらない。
わたしは、わたしを推してくれているファンの友達の大ファンだ。
あの、頭をナデナデしているときの支配欲全開の表情がたまらなく好きなのだ。
そして、その支配欲を満たせるのは全世界でたったひとり、わたしだけなのだ。
「うわーん、ユウリ、また手をふってくれた。ねえ! 死ぬの? 江戸川ちゃん、今日、アタシ死ぬの? 」
「よかったねー、カエデちゃん」
江戸川ちゃんは、恍惚の表情をうかべて、ワタシのファンの頭をなでなでしている。
よかったねー、江戸川ちゃん。
わたしはゾクゾクした。ああこれだから、ワタシを推し活してくれる友達の推し活はやめられない。
ああ、ワタシはなんて幸せモノなんだろう。
推し活リサイクル かなたろー @kanataro_
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