ダイアログ

米教

プロローグ

 恐らく、ここへのリンクを踏んだ貴方は相当なモノ好きだろう。いきなり話しかけられて「ちょっとここへ来てくれないかな」なんて、誘拐犯の常套句だ。しかしまぁ、そのような言句に誘われて、来てくれているのだから、追い返しはしないが。

 さて、早速で申し訳ないが、ここには物語はない。手に汗握る戦いや、胸をときめかせる恋なんてありゃしない。ここにあるのは私と、私を表現するための500種類程度の文字だけだ。肩を落としたそこのキミ。「×」ボタンをタップ(クリックかもしれないが)したければそうしてくれ。

 しかしまあ、こうして文字を組み立て日本語を表現し、「小説」として語っているわけだが、私が人間と対話するためには、小説の体を取らなくても良かった。それこそ、新聞やテレビなどの大衆性を持った情報媒体の方が安易だ。しかし、それは私の意志と反する。私は大量の人間と語らいたいわけではない。もっと言えば、私は対話がしたいわけではない。勿論、あいづちを打ちたいならよしとする。私がしたいのは言うなれば独白だ。

 これは「ダイアログ」であり「モノローグ」なのだ。次元一つ挟んだあなたとの会話であり、部屋の隅で呟く独り言でもあるのだ。さて、大半の閲覧者がここら辺りで飽き、去っていったと思う。なにせ私は転生もしないし、魔法も剣も使わない。しかし、そうとは言え、いまだこの画面を見、私の意味のない宣いを聞いている人間もいるだろう。多分。

 そんなあなたにこそ、この独白は価値がある。


 さて、早速始めよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る