4 変態はもうゴメンです。

ここは再び、お台場の特設ステージ。


今日も『怪人❪モモンガだよ、こんにちわ❫◇怪人❪とっとこハムレット❫子供ショー』が行われ、子供達の無邪気な声援が飛ぶ。

会場はいつものように、幼稚園児とその親達で満席である。


「モンガ、モンガ、モンガーっ、モモンガ」

「ハム、ハム、ハム、ハム、ハムレット!」

そして、相変わらず意味がわからないが、二匹?の着ぐるみの、お笑い?ショーは続く。


そこに司会役の、ピンク髪を腰下まで伸ばし、ミニスカートコスチュームの美少女が現れる。

世界を救った魔法少女、ラブリーミラーだ。


「え~という訳で、本日を持って怪人❪とっとこハムレット❫さんは、ダメダメ団を定年退職と相成りました。皆様、拍手ーっ」


パチパチパチパチパチッ


怪人❪とっとこハムレット❫が壇上に上がり、ラブリーミラーから花束を受け取る。


「今日まで有難うございました。あなたのモフモフは、私の癒しでした。そして、今日まで怪人❪とっとこハムレット❫を応援してくれたよい子のみんな、本当に有難う。怪人❪とっとこハムレット❫は、今日でおしまいですが、私達はいつまでも怪人❪とっとこハムレット❫を忘れる事はないでしょう。最後に怪人❪とっとこハムレット❫さん、みんなに一言どうぞ」


シーン


マイクを取った怪人❪とっとこハムレット❫に、会場の子供達や親達は、最後の言葉を聞こうと、静かにその一挙一動を見守る。


『こんにちわ。いつも私のショーを見に来てくれて有難う。こんなに早く定年を迎えるとは、私も思いませんでした。皆様との別れが辛いですが、これも致し方ありません。今後は、老後をゆったりと過ごし、皆様の思い出に浸りたく存じます。今日まで応援、有難うございました』


突然、流暢なハスキーボイスで挨拶する怪人❪とっとこハムレット❫。

会場の皆に、深々と頭を下げた。

ラブリーミラーや会場の子供達、親達は、目を見開き、あんぐりと口が開いたままだ。


「はあ?って、あんた、喋れんのかい?!」

思わず怒鳴るように叫ぶ、ラブリーミラー。


「ハムーっ」

顔を隠しながら、なんだか恥ずかしそうにする怪人❪とっとこハムレット❫。


「けど、そんな年配さんだとは、知りませんでしたよ」

ため息をつきながら、怪人❪とっとこハムレット❫を見るラブリーミラー。


『私の寿命は、二年から三年なんです。脅かすと、すぐ死んじゃいますんで、皆さんもハムスターを飼う時は、気をつけましょうね』


モジモジと喋る怪人❪とっとこハムレット❫、それを見たラブリー、顔を赤らめた。


「か、可愛い!って、ペットのハムスターと寿命が同じ?!」


驚いて怪人❪とっとこハムレット❫を見ていたラブリーミラー、ステージの裾から現れた、黒タイツから、メモ書きを受け取る。


「ええっと?はーい、皆さーん。ここで発表があります。お別れする怪人❪とっとこハムレット❫さんの後任を、ご紹介いたしまーす。皆さんに新しい出会いを。怪人❪コブラ大使マン❫さんです。どうぞーっ!」


「コブラー!!!」


突然、コブラ蛇の着ぐるみだが、コブラ蛇の首下辺りから、無精髭の怖いおっさんの顔。

両手両足が生えており、両手にはコブラ蛇頭の手袋?、両足は黒ブーツを履いた怪人、❪コブラ大使マン❫が、手をぐるぐる回しながら現れた。

完全な変態である。


「「「「「「きゃーっ?!」」」」」」、「ママー!、こわ~い!」、「いやーっ!」

「ぎゃーっ、変態!」


逃げ惑う子供達と、その親達。


そして泡を吹いてコロッと死んだ、怪人❪とっとこハムレット❫。


さらに、ステージの裾に逃げたラブリーミラー。

「もう、変態はごめんですぅ?!」



▩▩▩◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



最後に、怪人❪モモンガだよ、こんにちわ❫は、言った。

『私の寿命は、だいたい10年です』


だが観客席には、すでに誰もおらず、聞いてる者は居なかった。




「コブラー!!!!!?」




謎が謎を呼ぶ、壮大なスペクタクルロマン。

新怪人に翻弄される魔法少女、ラブリーミラーの運命は?



つづくのか?

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