ファンレターを書いて良かった話
卯野ましろ
ファンレターを書いて良かった話
私は数年前からファンレターを書いている。特に漫画家の先生に書く機会が多い。作品の連載または作家活動の継続に大きな効果があると知って以来、私はその話を信じてファンレターを書き続けている。また、漫画家は孤独を感じることが多い職業だ。その淋しさがファンレターによって緩和された話もよく聞く。
2020年秋、とあるWEB漫画に私は出会った。連載される前から、作品のキービジュアルに釘付けになった私は「うわ、これ絶対おもしろい漫画だ! 読まなきゃ100%後悔する!」と感じていた。
そして第1話が公開され、わくわくしながら読み始めた。拝読した結果、予想通りの大好きな漫画であった。しかし私は、その漫画の特徴を知って顔をしかめることとなる。
それは、短期連載作品ということだった。人気があれば長く続くパターンである。私は初回を読んでから、すぐ行動に出た。まずは漫画の感想を下書きし、それが完了したらレターセットなどを準備開始。作品へのファンレターを書いたのだ。おもしろかった、貴作品に出会えて嬉しい、どうか長く続きますように……。私の大好きな漫画に対する思いを、三枚の紙にぶつけた。そして翌朝、私は「長く続きますように、書籍化しますように」と祈りながらファンレターを投函した。
お気に入りの漫画が増えた数日後、嬉しい出来事があった。私が送ったファンレターが無事に作者の先生に届き、とても喜ばれたのである。それを先生ご本人のSNSで知り、私も喜んだ。先生へ早めに転送してくださった編集者の方にも感謝の気持ちでいっぱいである。とある漫画家の方が、編集部に届いたファンレターを数年後(しかも作品が完結していた)に受け取ったというエピソードもある中で、きちんと対応してくださる編集さんも存在することに改めて感動した。
その後も私は、先生にファンレターを送り続けた。すると数ヵ月後、先生からお返事が届いた。そして、お手紙には長期連載決定という吉報が書かれていた。また、私が「書籍化希望」と毎回ファンレターに書いた結果、単行本発売が決まったとも書いてくださった。
ただ思ったことを書いて送っただけなのに、こんなにも先生に感謝されるとは思わなかった。幸せな結果となって、私は本当に安心した。「このファンレターが余計なお世話ではありませんように」と、ドキドキしながら手紙を書いていたからである。連載継続も書籍化も、もちろん先生の頑張りによる賜物だ。私は自分の応援を自画自賛するつもりはない。しかし私が書いたファンレターが、その先生の励みになったと知って胸が熱くなった。
誰かを応援することは、自分が思っている以上に相手に喜んでもらえる。私にとってファンレターは、これからも続けていきたい推し活だ。
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