二糖流な彼女

空本 青大

二糖流な彼女

「おわっっったーーーー!栞ちゃんアンド私テストお疲れ~~~!!ピースピース♪」

「ん、お疲れ」

栗毛のウェーブがかかった長髪の女の子・佐藤ミカンは、短髪で切れ長の目をした女の子・武藤栞に満面の笑みと両手ピースを向ける。

それに対し栞は無感情な表情と言葉を返した。

「お疲れ打ち上げ会しよぉよぉ♪」

「いつものオカパラ?」

「うん!もち!今日は豪遊コースだ~~~」

「じゃあ行こっか」


お菓子パラダイス―通称”オカパラ”は二人が通う学校から徒歩5~10分ほどのところにあるスイーツショップである。

多種多様な和洋中のお菓子や軽食をお店の中や、テラスで食べることができる若者に人気のお店である。


談笑しながら二人は10分後お店の前に到着する。

白色の外装に青色の屋根、欧風な雰囲気のファンシーな建物。

お店の中には数人お客さんが楽しそうに談笑していた。

「今日は天気がいいからテラスにしよう!」

「ん、いいよ」

テラス席に荷物を置き二人は店内にある軽食コーナーへと移動する。

「今日は”アレ”やっちゃお~っと♪」

「私はポテトでいいや」

注文を終え商品を受け取った二人は陣取ってある席へと戻る。

「じゃ~~ん!今日は右手ソフトクリーム、左手みたらし団子の二刀流ならぬ・・”二糖流”だ~~~~~」

「えぇ・・」

みかんの全力のドヤ顔に、栞は引き気味のリアクションを取る。

「ソフトクリームのまろやかな甘さがみたらしのタレの醤油にベストマッチ!ベストフレンド!さいこ~~~~~♡」

「よくそんな甘いもの同士食べれるな」

「ソフトがおかずで団子がご飯みたいもんだよ!余裕♪余裕♪」

「わからん・・」

シューストリングのポテトをかじりながら栞は呆れ顔をみかんへと向ける。

栞のポテト食べる姿を眺めながらみかんは疑問を投げかけた。

「栞ちゃんって甘いもの食べないよね?」

「別に嫌いってわけじゃないけど塩っ気のあるもののほうが好きだな」

するとみかんは右手に握られているソフトクリームを栞の顔の前に差し出した。

「一口どうぞ♪」

「今の話の流れでなぜ勧める?」

「私の好きなものをさ、大好きな栞ちゃんと一緒に食べて美味し~ってなりたいの!

ダメかな?」

「う・・」

みかんの上目遣いのうるんだ瞳に胸の奥がぎゅうっと締め付けられ思いがした。

「じゃあさ、ポテトにディップして食べてみたら?塩ソフトとかあるし合うと思うよ!」

「はぁ・・わかったよ。それじゃあちょっともらうね」

ポテトの先にソフトクリームを少量塗り、口へひょいっと運ぶ。

モグモグと味わいごくんと喉の奥へと落ちてゆく。

「・・どう?」

「悪くないな」

不安げな顔のみかんの問いに、少しほころんだ顔で答える栞。

「甘じょっぱくて案外いけるね」

「よかった~~~♪栞ちゃんがニコニコだ~~~♪やっぱ甘いものはサイキョ―だね♡」

「大げさだって・・。別に私の意見関係なしにみかんにとっては甘いものはサイキョ―でしょ?」

みかんは腕を組みう~んと思案したあと、いつもの太陽な笑顔で答えた。

「栞ちゃんと食べるからサイキョ―に美味しいんだよ!甘いものがねも~~~っと甘くなるの♪だからこれからも一緒に食べてね♡」

まっすぐな笑顔と素直な気持ちを正面からぶつけられ、思わず栞はプイっと顔をそむける。

「甘すぎるんだよ、まったく・・」

「え!でもさっき悪くないって言わなかった?」

「そっちじゃないわよ・・はぁ、もう・・」

「栞ちゃんお顔こっち向けてよ~~。どうしたの~~?」

「ちょっとほっといて」

突き抜けるような青い空の下、栞の赤くなった耳が映え、

二人の甘い時間はずっと続くのであった―



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二糖流な彼女 空本 青大 @Soramoto_Aohiro

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