二刀流になれない不器用な俺

西沢哲也

第1話

「二刀流ってロマンだよな、俺も攻撃は最大の防御とか一度くらい言ってみたいわ」


「マー君、何言ってんの!またスキが生まれているよ!ハイ決まり!これで10戦10勝」


そうやって、ミーちゃんの放ったレイピアが俺のお気に入りの両手剣持ちのアバターに刺さり体力のピンチを示す赤ゲージから黒に代わり俺の負けははっきりとついた


「まじかー、もう一回頼むから…… 」


俺は幼馴染のみーちゃんに頼み込むが、彼女はすでにコントロールを置いていた。


「マー君不器用なのに難しいキャラでいつも挑むから、弱くて飽きちゃったよ」


「だから、ロマンだって」


「いやもう言葉何回も聞いたから。マー君みたいな不器用な人は何か極めておかないと中途半端に終わっちゃうんだから私に一つでも勝てるものでも見つけなさいよね」


「そう…… だよな」


なんも変哲もない俺の部屋に男女が二人っきり、一瞬の沈黙が流れる。

ほかの人から見れば羨ましい展開なのかもしれないが、幼馴染の二人には何度も経験していることもあって慣れてしまいそれ以上のことも起きるはずもないのだ。


(もう何年も一緒にいるけど、やっぱりかわいいよなミーちゃん。いつも俺がやりたいって言ったらついてきて、気が付いたら俺よりうまくなっていてなんか悲しくなるけど、それはそれでかわいいよな)


「はぁ? 何じろじろみてんの?」


「あっ、すまん」


「言いたいことがあるなら言いなさいよ…… ったく」


(マー君に見られてちょっと恥ずかしいけど、いつも一緒に遊ぶこの時間が楽しいんだ、ふふっ……)


「さて、次にやりたいゲームでも出ているんじゃないのかしら? マー君あきっぽいもの」


「そうだな…… 次はギャルゲーで女子二人くらい攻略してみたいんだよね…… それで二刀…… 」


「そんなのダメ!!  ってあっ。」


『ガンっ』


私は急に慌てて立ち上がったものだから、机に膝をぶつけてそのまま倒れこんでしまった。


「いてて、急に倒れるなよ。 って、えっ?」


ふと顔を見上げるとミーちゃんがまさに目と鼻の先にあった。


「え……/// ご、ごめんね」


そう言って、離れたミーちゃんの頬は真っ赤に染まっていた。

ちょっと冗談でギャルゲーやりたいなんて言ったはずなのに想像以上の反応が来てしまった。

(ちょっと強がりなミーちゃんだけど、ここからどうしようか……そうだ!)


「いや、待って……ギャルゲーなんてやんないからそう、これは新しいゲーム、俺とミーちゃんはカレカノの関係になって俺が全力でミーちゃんを惚れさせるから、惚れたら俺の勝ちだから……どうかな?」


(さあ、これでどう出るか)


するとミーちゃんは顔をプルプルし始めながら、


「そ、そうね……ゲームよ。幼馴染で、彼女という二刀流の立場の私をマー君は全力で攻略しなさい。そうしたら、貴方は一つでも私に勝てるわね!マー君が負けたら怒るからね」


「きまりだな、じゃあファーストステージでどっか行こうか?」


そうやって、俺らの二刀流なのか不器用なのか勝ちが決まっている不思議な恋愛は始まったのであった。


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二刀流になれない不器用な俺 西沢哲也 @hazawanozawawa

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