第14話 3月26日 調子が悪いから日記にする

 ホントは勝ち癖と負け癖について書こうと思ってたんだけど、10分で書ける気がしないから日記にしておく。それで、27日になったら九郎ちゃんにお願いしようかな。


 今日は花見に行こうとしたけど雨が降っていた。

 雨が降っていたんだから、おとなしく家にいて小説でも書いていればいいのにと自分でも思う。でも、私は出かけた。それは桜が咲いているから。

 さすがに桜がいっぱい咲いているところは諦め、近場にした。

 近場と言っても、そんなに近くはない。雨の中で、行くのはきついくらい遠い。


 でも、私には〇ークマンで買ったふつうの紐靴に見えなくもない長靴を持っている。だから出かけた。ついでにバッグにもなる防水加工のパーカーを着て。さらにその上にセブンで買ったレインコートと100円ショップの雨用のズボンをはいて。


 雨は降っていたけれど、桜は咲いていた。

 雨は降っていたけれど、夜でもないから桜が見える。ただ、緑の葉っぱも見えた。雨が降ると、桜は葉桜になるのか? ソメイヨシノの場合、花が先に咲いて後から葉っぱが出てくる。緑色の葉が出る前の薄紅色だけの状態が美しいからソメイヨシノはもてはやされている。


 だがしかし、私が見上げた桜はすでに緑の葉が出ていた。

 種類が違うだけか?


 ちなみに私は赤い葉っぱの山桜が好きである。山桜の場合、葉が出るのと花が咲くのが一緒だが、葉が赤いからより紅色が増して綺麗である。これもいろいろ種類はあるそうだが。桜と同じバラ科のバラ(要は普通に薔薇である。なぜ漢字にしたのかというと、カタカナの方がなんとなく好きだから)も、新芽は赤い。赤から緑になる。


 花だけの樹もあった。

 五分咲きくらいで、てっぺんの方はつぼみばかり。

 これがソメイヨシノ? ソメイヨシノはまだ咲いてない?


 ソメイヨシノは吉野山の桜を真似して江戸時代に職人さんが作ったらしい。品種改良と言う物らしい。ただ、だから弱いと聞いたことがある。


 植え替えてないか?

 数年前、段葛の桜が一斉に切られていて、ショックを受けたことがある。虫だか病気だかのために。段葛の桜はソメイヨシノだった。ほっそい樹になってしまっていたけれど、今年は見事な桜に育っていた。満開はまだだけどと、うきうきしながら歩いてきた。


 河津桜の話はよく聞くけれど、ソメイヨシノ、減ってないか?

 あんなに猫も杓子もソメイヨシノを植えていたのに、減っている気がする……。


 雨が降って幹が柔らかくなって新芽が出やすくなったからだと、誰か言ってくれないか? 昨日も今日も雨がよく降っていた。


 桜の樹は、流行に関係なく育てて欲しいと思うのはわがままだろうか。わがままだろうな。

 それでも私は桜が好きだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る