第13話 3月25日 花見とクッキー

 鎌倉で用事を済ませ、花見をしてきた。用事の間は雨が降っていたけれど、終わったら上がった。普段の行いが良いのか? そのまま花見。パッと見た感じ、まだ蕾があった。3~5割くらい咲いていた。日本語以外の言葉も多く聞いた。

 みな、嬉しそうな笑顔だった。


 かみしめるような笑顔で歩いている女性の周囲には、桜が咲いていた。その気持ち、とてもわかる。だって桜は綺麗だもの。満開の桜並木に迷い込んだら、それはそれは最高な気分になれる。


 日本の春は最高。桜が咲いているから。オリンピックとかも春にやればいいのにと思っていた。夏はクソ暑いけれど、春と秋は自慢できる。


 段葛の桜を満喫して、八幡様の横の喫茶店へ行く。小さい方の池を観ながらお茶を飲むのがお気に入り。窓際が空いていてそこに座ると、目前にある池の周囲に薄紅色の桜が咲いていた。選んだメニューは桜モンブラン。抹茶かコーヒーかでコーヒーにしてみた。抹茶と桜の組み合わせにやや飽きていた。ここはコービーでもいいのではないかと思ってコーヒーにしてみた。

 美味しいコーヒーだった。桜モンブランが甘かったから、ミルクを入れずにストレートで飲んだ方が良かったかもしれない。ストレートは紅茶の言い方か? ブラックか。あまり時間がなかったので、食べ終わったらすぐに出る。

 レジでパフェが美味しかったことを聞く。

 次はパフェにしよう。桜モンブランもおいしかったけど。抹茶ソースがとっても合ってたけど。


 お参りして桜を観て、パン屋さんに行く。

 以前食べて、めちゃめちゃ美味しかったクッキーがあった。1個800円弱。めっちゃ高い。想像を絶する高価さ。だがしかし、ハートにチョコがトッピングされているかわいらしさに購入してしまい、食べたらすっごく美味しかった。甘い。甘さ控えめなんてクソくらえとばかりに甘い。甘いのだが美味しい。人間が最も甘いと感じる甘さなのでないかという甘さ。甘すぎるとさすがに不快になる。そうならない、絶妙な甘さ。口に入れた瞬間、甘露の香りが鼻孔をくすぐる。

 私が一番好きな甘さだった(意味:けっこう甘い)。

 800円をぺろりと食べてしまった。次も買うつもりで行ったら季節限定ということでなかった。


 そのクッキーがあった。籠に2個。手のひらサイズの大きなクッキーをひとつゲットする。店内をくるりと回って、もう一個も手にする。

 どうしようかと思ったが、その2個を購入することにした。他のパンやケーキも買おうかと思ったが、物価高でお財布が心細いのでクッキーだけにした。800円のクッキーを2個買って、他の物も買ってしまったらしばらくパンの耳をかじるだけの生活になってしまう。買わなくてもそうなってしまうかもしれないが。

 でも、買った。

 なんと、今年最後のクッキーだったらしい。

 今日まで売っていて、最後の2枚だったらしい。


 なんて特別スペシャルな一日だったのだろうと思った。


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