二刀流
玄栖佳純
カクヨム生誕祭
KAC2022
第1話 二刀流について源九郎義経が語ってみた
二刀流とは、両手に刀や剣を持って戦うことを指すらしいです。
だから、ボクが語ってみようと思います。源九郎義経です。
ボクは英雄と言われているようですが、剣術が優れていたわけではありません。槍や弓が得意だったわけでもありません。愛想がよかったのとちょこっとすばしっこかったというだけです。
自分ができる一つのことを、一所懸命にやっただけです。
パッと見て直感で動いただけです。
修行はけっこうしたけれど、ボク以上に修行をした人はたくさんいたし、ボク以上に剣を振るうことができる人もたくさんいました。戦術がすごいとも言われますが、ちょこっと虎の巻を読んで、知ったかぶりで動いていただけです。
意外と現実の動きはそんなに難しいことをしなくてもうまく行くことがあります。
その場に行って肌で空気を感じて、ひらめいたことを行っただけです。
カンと素早さだけで英雄になりました。
だから、剣や刀を二本持って戦うなんて、恐ろしいことはできません。ふつうに無理。両手で持つべき刃物を片手で持ち、振り回すには筋力が必要です。非力なボクにはできません。遠心力を利用して振り回してすっぽ抜ける恐れがあります。
片手で一本持ってでその状態なのに、もう一本の手にも刃物を持って戦うなんてできるわけがありません。刀は一本をしっかり両手で持って振るった方が、初心者や非力な人にはいいと思います。
両手に一本ずつ持って戦った方が楽そうと思うかもしれませんが、全然楽ではありません。二人がこっちに向かってきたら、右手に持った刀と左手に持った刀で切れば良いなんてことにはなりません。
非力な人間がそんな器用に切れません。
相手だって必死なんですから、それを避けて自分は被害を受けずに相手だけ切るなんて、刀を二本持っていたらできません。
一本を両手でしっかりと持ち、相手が振り下ろしてくる前に切って、移動しながら次を切る。それに、自分から好き好んでニ対一の場面を作らなくてもいいんです。そんな場面になったら二刀流とか言ってないで逃げることをお勧めします。
ふつうの人は刀を二本持つよりも、一本を極めた方がボクは良いと思います。
ボクはふつうの人なので一本です。
前にちらっとアニメで観たけど、相手の攻撃を剣で受けて反対側の手に持った剣で攻撃してました。攻撃されたら剣で受け、隙があったらすぐに攻撃ができます。
剣で受けたり切ったりするわけだから、自分の手の攻守が一瞬で変わってすげーって思ったけど、あの域に達するにはそうとう修羅場をくぐり抜けたんじゃないんですか?
戦なんて、熟練にならない方がいいです。
皆が初心者のままでいられれば、それに越したことはありません。
その話が聞きたいわけじゃない?
二刀流には他にも意味がある?
なんでその話をボクに振る?
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