肉体美
バブみ道日丿宮組
お題:遅い許し 制限時間:15分
肉体美
『ごめんなさい』
その手紙を見つけたときには、彼女は死んでた。
自殺とも他殺ともわからない状態で彼女は見つかった。
行方不明。
それから3年が経過した結果がこれだった。
「……」
遺体は死後1年は警戒してるのに、まるで劣化をせず、生きた人間のように細胞は動いてるらしい。
それは生きてるのではないか。だが、違うのだ。
心臓は止まり、脳も動いてない。
それなのに、身体は活動を続けてる。肉体の温度も人間と同じものだ。
様々な研究機関が彼女の遺体を欲した。
親と、僕は断った。
静かにしてやりたいと思った。
とはいえ、変わらない身体を持ってるのならばと、家に連れ帰った。
「……」
その状態からさらに3年が経過した。
彼女は依然として、自分よりも生命力に溢れてそうな顔色をしてる。
『ごめんなさい』
そこに答えがあるのだろうか。
彼女遺品から何も得られなかったし、目撃情報もなかった。
状態が状態だけに、都市伝説としてWebサイトに載ってそこでいろいろな議論がされてる。
一番多い書き込みは、やはり研究機関というか、きちんと調べるべきだということ。
当たり前の反応だった。
ごめんなさいを言わなければいけないほど、彼女は何かをしてたのか? 隠しごとはなかったと思う。結婚生活に陰りはなかったし、子どもだってきちんと育ってる。
子どもはもうすぐ中学校。
まだ親の愛情が必要な時に、どうして行方をくらませたのか。
僕が彼女に至らない何かをしてしまったのか。詐欺にひかかったのか、弱みを握られたのか。
未だに答えはでない。
『ごめんなさい』
その言葉だけが書かれた手紙は、もう何度も見た。調査を依頼したりもした。
結果は、その文字しかないということを力説するだけで、なんの進歩もなかった。
老いる身体と、変わらない身体。
今後はより一層変わってくだろう。
「……」
彼女は肉体は温かい。唾液もしっかりでるし、陰部に至っては、収縮拡大もしてる。
今まで欲情しなかったということはあまりない。
死姦なんてありえない。
そう思っていたはずなのに、動いてしまえば……あとはそのままだった。
それから、数ヶ月経つと、彼女に変化が生まれる。
お腹が大きくなってた。
肉体美 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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