第131話
いくらいつもの夏より調子が良いからって、さすがに連日の宗くんとの行為は調子に乗り過ぎだったらしく、僕は次の日にしっかりと熱を出した。
エアコンの効いた部屋で服を全部脱いで運動をして、汗をかいてそのまま少し寝る………を3日も続ければ、当然と言えば当然の結果。よく3日間出なかったと思った方がいいのかもしれない。
朝、僕がいつも起きる時間に起きて行かなかったから、実くんが心配して部屋を覗きに来てくれた。
そして、僕の顔を見て、僕のおでこを触って、困ったように笑った。
「これはまあ………しょうがない、のかな?」
「………うん」
「病院行く?寝てる?」
「………寝てる」
「じゃあ今日は、おとなしく寝ててね」
「………はい」
何故熱が出たのかが実くんにバレバレで恥ずかしい。
僕は布団を鼻先まですっぽりかぶって、お水と何か食べるもの持って来るねって実くんが部屋を出て行く音を聞いていた。
実くんが時々作っているヨーグルトを、やっぱり実くんが時々作っている甘酒で少し甘みを足してゆっくり食べた。
実くんが作ったものは基本何でも食べられるとはいえ、冷えているものを一気に食べるとお腹をこわす。だから本当にゆっくり。
食べ終わって、こういう体調が悪いとき、いつもなら身体に栄養を、と、半ば無理矢理食べていることがほとんどなのに、今日はまだ何か食べたい気持ちがあることに気づいて驚いた。
………お腹がすいている。
調子は良い。いつもの夏より全然いい。でも、油断した………というか、本能に負けた。
まさしく昨日実くんと宗くんが言っていた『高校男子は盛っている』だ。
実くんの言う通り、熱は仕方ないとして、熱がありながらのトイレとお友だちはできれば避けたい。………でも、食べたい。
もう少し間をあけてから何か食べよう。
少し葛藤した後、僕はまたもぞもぞと布団に潜った。
さっきはかったら、熱は37.9度だった。
平熱が低い僕じゃなくても、これはなかなかの熱。
それでもいつもより楽なのは、熱があるだけ、だからなのだろう。
身体は怠く、あちこち痛い。でもそれは宗くんとの行為のせい、が、含まれたものだし、それ以外といえば、少し頭が痛い程度。だから楽。
僕は布団の中で、はあっとため息をはいた。
宗くんと約束したのに。今日もって。僕が言ったのに。
「………僕も相当盛ってる………」
熱が出たことより、宗くんとできないことにダメージを受けているなんて。
つい先週まで、あの世界は未知の世界だったはずのに。
「明は俺よりすごいからな」
「え⁉︎」
誰も居ないと思ってぼやいたのに、それに答えるように声が聞こえて、僕はかぶっていた布団をガバッと捲った。
「宗くん‼︎」
そこに宗くんが居て、思わず反射的に僕にしては大きい声で呼んだ。そしてそのせいで思いきり咳込んだ。
宗くんがすぐに来てくれて、何も言わず少し身体を起こしてくれて、背中を摩ってくれた。
さっき宗くんに連絡しておくねって、実くんが言っていた。
だから、今日はもしかしたら来ないかもって思っていた。
「おはよ。実から熱って聞いた」
咳が落ち着いた僕の身体を宗くんがぎゅっと抱き締めてくれる。
いつもは熱く感じる宗くんの身体が、今日は熱くない。僕の方が熱い。
「………うん。さすがに出ちゃった」
「連日やったせいだな。ごめん」
「………ううん。僕もしたかったから、ごめんじゃないよ」
「まあ、俺より明の方がすごいからな」
「すごいって?」
「盛り具合が」
「盛り具合って」
宗くんがしっかり抱き締めてくれて、僕もそんな宗くんにしっかり腕を絡めた。
密着が気持ちいい。宗くんのにおいが心地良い。
くす。
笑う宗くんの唇に僕の唇を乗せて、盛る気持ちを少しでも発散させようと試みた。
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