第106話 寝転んで勉強する男

 多くの人間は、やる事が無い時はスマホを眺めている。

 エレベーターを待つわずかな時間にスマホをいじっている人も少なくない。

 歩きながらスマホを操作している人もいる。


 恐るべき器用さだ。


 自分自身をかえりみると、疲れた時に寝転ねころんでスマホを見ていることが多い。

 あの姿勢は思ったより楽なのかもしれない。

 疲れていても可能なのだから。


 そこでオレはスマホ勉強をする事にした。


 医学書の図とか表とかをスマホで写真に撮る。

 暇な時や疲れてスマホを眺めるときに、その写真を眺めるわけだ。


 それが案外、いい勉強になる。


 たとえば IgA 血管炎。

 そして RS3PE 症候群。

 さらに過敏性腸症候群。


 もちろんどれも脳外科の病気ではない。


 じゃあなんでオレがこんな意味不明な病気を勉強するのか?

 きかないでくれ、大人の事情があるんだ!

 とだけ言っておく。


 つまり……

 プロってのはやりたくない事もやらなくてはならない。

 やりたいことだけやってりゃいいのはアマチュアだ。


 だからといって机に向かって真面目に勉強する気は湧いてこない。

 だから寝転び勉強、スマホ勉強で知識を仕入れる。


 もっとも眠くなってすぐに寝てしまうのがいつもの事。

 何よりも効果的な睡眠薬ともいえる。


 それもまた良し。

 よく眠れば、それだけ元気になれる。

 YouTube なんかを見て夜更かしするよりも余程有効な時間の使い方だ。


 オレはそう思っている。

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