スキル二刀流は二頭龍?

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スキル二刀流は二頭龍?

この世界では15歳になると必ず神よりスキルを授かる


このスキルによって将来が決まると言っても過言ではない。


基本的には|『神より授かるスキル』にハズレは無い。


当然だよね?神様が授けるスキルをハズレ何て馬鹿にして良いはずが無い。


但し、どんな時代にも例外はある。


そう例外はあるんだよね。


その例外が私『ジン』が神から授かったスキル『二刀流にとうりゅう


15歳のあの日、ジルにも確かに神の声が聞こえた。


貴方のスキルは『二刀流にとうりゅう


…………。


神から与えられたスキルはどんなスキルでも何らかの効果がある、戦闘系の『剣士・大剣士・槍使い』なら、スキルで授かった特性の武器を使うことで大幅なスキル補正を受ける事が出来る。


魔法系であれば『五大属性(火・水・土・風・金)』の中から一つの属性を授かる。


稀に複数のスキルを同時取得する場合もあるが、これは1万人に1人程度の低い確率でしか発生しないので基本的には1人1個のスキルとなる。(マルチスキル獲得を隠している人も存在している)


我が国の英雄『ギル』は何と3つのスキルを取得している。歴史に名が残る偉業を達成する人間は複数スキル保持者が多い。


当然スキルだけで全てが決まる訳ではなく、そのスキルにあった訓練や実践を積むことによって、スキルの効果を高めるのが一般的なスキルの育成方法だが。


スキルがあるのと無いのでは圧倒的な差が生まれるのが現実。適正スキルが無ければその道を極めるのは諦めろってのが一般的な考え。


そして、肝心のジルが授かったスキル『二刀流』だが。


このスキルは非常にシンプル…両手に武器を持つと武器の重さが軽減され。更に各種ステータスに補正が掛かる。


スキルを鍛えていくと、両手に持っている武器の重さは10分の1以下にまで下がるらしい。そして二刀流中はステータス補正もある。


神からのスキルにハズレは無い。二刀流スキルも手数×攻撃力で考えればかなり戦闘で役に立つスキルに分類される。


ただ…ジルの『二刀流スキル』は武器を両手に持っても何の補正も掛からない。


スキルは獲得後。自動的にスキル適正が受けられる状態になれば発動するのが常識だが、何も起きない。

(二刀流スキルなら、武器を両手に持つだけ)


まだ訓練も実践もしていないのでスキルは強化されていないが、それでも普通は自分のスキル特性の武器を持てばスキル覚醒前と後の違いは圧倒的なはず。


この後、何度試してもスキルが発動しない主人公『ジン』は訓練と仕事が両立出来る冒険者の『荷物持ち』になる。


荷物持ちは奴隷にさせるような国もあるが、ジルの国ではそんな事は無く。冒険者協会で依頼が出されて報酬も有る、荷物持ちも冒険者を支える立派な仕事だとジルは頑張った。


あの日が来るまでは…。


時は経ち3年後〜ジルのスキルは一向に使い物にならなかったが、荷物持ちとしての実績と評判だけはかなり上がっていた。


今日もジルはいつも通り冒険者協会で荷物持ちの依頼を受けた。最近、冒険者ランクCになったばかりの新星冒険者パーティー『弱肉強食』


このパーティー曰く、強いモノが正義!!俺たちは強者になって全てを喰らい尽くすって意味らしいけど。正直どうでも良い。


報酬は地下洞窟ダンジョン(ランクD)探索の荷物持ちで1日銀貨8枚(銀貨は日本円で1枚1000円相当(ご都合主義の通貨))更に、宝箱ボーナス有り(分け前は10分の1)


荷物持ちと言っても運が悪ければ命を落とす可能性もある。命懸けで1日銀貨8枚これが妥当かは分からないが、冒険者協会的には標準の報酬になる。


ただ、今回は宝箱ボーナスが設定されていた。宝箱の中身はダンジョンレベルによって変わるので、今回のダンジョンレベルなら宝箱が出現しても大抵は体力回復ポーション(銀貨5枚)や魔力回復ポーション(銀貨10枚)程度。


その10分の1となると、追加は銀貨1枚にも満たない可能性も高い。


それでも命を賭けて荷物持ちをしているジンとしては、この宝箱ボーナスがある荷物持ち依頼はテンションが上がる(荷物持ちだって立派な冒険者だからね)


既に荷物持ち歴3年のジンとしては、そこまで難易度が高いダンジョンでは無いと判断して受けた依頼だが…。


現在ジンの前には、ランクBモンスター『ゴールドウルフ』が今にも襲い掛かりそうな状態で存在している。


通常では今回受けたダンジョン(Dランク)には出現しない高ランクモンスターだが、モンスターは稀に進化する事がある。


このダンジョンにはシルバーウルフ(ランクD)が住み着いているが、このモンスターの進化系が『ゴールドウルフ(ランクB)』になる。


本来現れるはずの無い『ゴールドウルフ』に弱肉強食のメンバーは狼狽えて。


あろう事かジンを殴り付けて囮にして逃げて行った。


緊急事態の際には己の命を一番に考えるのは人として当然かも知れないが、殴り付けて囮に使う行為は冒険者協会に知られれば冒険者協会を永久追放にされてもおかしくない行為。


そしてその時は来た…。荷物持ちとして日頃鍛えていたジンの体は一般人に比べれば頑丈だが、ランクBモンスターの攻撃を喰らえばひとたまりも無い。


無情なゴールドウルフの体当たり。ジンの意識は既にほぼ無い状態に…。


この時、ジンの頭の中にこの世界とは違う世界の記憶が流れ込んで来た。


それは日本と言う国で暮らしてた30年間の記憶。そして30歳童貞で誰を助けた訳でも無くトラックに轢かれて死んだ前世の最後。


この記憶と共に、神から授かったスキルが頭の中で文字化された。


『貴方にこのスキルを授けます。』


『召喚スキル『二頭龍にとうりゅう/ダブルヘッドドラゴン』』


『貴方が前世で憧れてた漫画に登場した『大魔法使い』が使っていた召喚魔法です。童貞さん』


何とジンが神から授かったスキルは武器スキル『二刀流』では無く魔法スキル、しかも激レアの召喚スキル『二頭龍ダブルヘッドドラゴン


意識が朦朧とする中、無意識にジンが前世の記憶で憧れていた大魔法使いが使役していた頭が二つある最強ドラゴンを強く想像しながら祈った。


二頭龍召喚ダブルヘッドドラゴン召喚』そしてジンは意識を失った。


どの位の時間が経ったのか?目を覚ました時にゴールドウルフは既に倒され、ジンの周りは大規模魔法が炸裂した後のようだった。


そして、過去の記憶を取り戻したジンが異世界転生でお馴染みだが、この世界では誰も利用しない言葉『スキルオープン』を唱えると。


そこにはジンのステータスと『二頭龍《ダブルヘッドドラゴン》』の文字がしっかり刻まれていた。


この事件を境にジンは歴史上初の最強ドラゴン召喚士として、歴史に名を残すことになるが…。それはまだだいぶ先の話しである。

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