一瞬の勇気
虹なん
第1話 小さいけど大きい勇気
私は、なんの取り柄もない小学生。私は運動も勉強も出来ないけど、特に勇気が出せない。例えば授業中、先生が
「この問題わかる人~!」
と言ったとしてとき終えていたとしても本当に当たっているのか分からない。もし間違えると、と思うと中々手をあげられなかった。そんな自分を変えたくても変えれなくて悔しかった。
今日も学校。もう卒業まで1ヶ月もきった。朝、いつも上條(かみじょう)さんを待っている。朝はいつも登校班で行くので班の人が来るまで待ち続けなければならない。でも上條さんは2週間前以上からずっと待っていても来ることはなかった。班の人に言って先に行けばいいじゃんと思うかもしれない。でもそれが簡単に出来ないのだ。何故かと言うと朝待っている時に親戚のおばあちゃんも一緒に待ってくれているからだ。おばあちゃんは
「今日も来ないね~」
「どうしたんだろうね~」
と言っている。私は心底
もうここまでいったら、上條さん置いていくか、上條さんの家に行けば解決すると思うのに。
と思っていた。けれどそれを言う勇気がなかった。班の人にも、おばあちゃんにも。
いつも、いつもいつもこうだ。心の中で思っていることを言えない。それは体育でもそうだった。
体育では今、ハンドボールをやっているが、私はいつも「足でまといになるのではないのか」と思い、いつも端の方で見ているだけだった。しかも友達と喋りながら。
体育が出来る陽キャの女子明石(あかし)さんは、
「つまんない〜男子の所に入りたい~」
と言っていた。多分つまらないと思わせているのは私だと思う。いつも勇気が出ないから。小さな事ですら、言えない。話せない。勇気が出せない。
私のそんな所が1番嫌いだった。ある日、草乃(くさの)という幼なじみに上條さんのことを話した。朝の登校の集合場所はほとんど同じだから話すとすぐ理解してくれた。草乃は、
「勇気を出すのが1番大事なんじゃないかな?」
私が1番出来ないことを言った。
「だって言わないと始まらないじゃん。言えば何か分かるかもしれない。もしおばあちゃんに上條さんの家に行くことを断られたら、それはそれでいいんじゃない?言わないことの方がモヤモヤすることになるよ!」
と言った。確かに、と思った。私は
「わかった。頑張ってみるよ!」
と言った。「勇気は一瞬、後悔は一生」まだ答えは決まってないけど初めて意味が少し分かったような気がする。
そして次の日。私は、集合場所に着くと勇気を出して、
「あの、ずっと来ないので家に行ってみませんか?」
と言うことが出来た。おばあちゃんの答えは、
「そうだね」
と私に賛同してくれた。その瞬間言って良かったなぁと思った。それから家に行くと上條さんが出てきて「足を怪我したから行けない。」と言うことがわかった。本当に言ってよかった。と登校中にそっと心の中で思った。
それから今日は体育の授業があった。私はやっぱり前へ行くことは出来なかった。そんな時、
「ほら、ボール持っている人を邪魔しないと!」
と、先生の声が聞こえた。今ボールを持っているのは明石さん。私は一瞬躊躇ったけどすぐ前に出て一生懸命邪魔をした。
(味方を邪魔するんなら敵を邪魔しろ)
と思いながら絶対にシュートさせない気持ちで頑張ってみた。その結果、勝った。
休憩時間に
「次も頼むよ!」
と同じチームの人に言われた。前まで何もしなかった私だけど少し役にたてたかと思うと死ぬほど嬉しかった。
小さいかもしれないけど、でも大きい。勇気を出せて良かった。と思った1日なのでした。
一瞬の勇気 虹なん @niziirodesu
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