63ページ目.授業中に尿を放つ
その日がやってきた。
前日にSNSで
朝、エントランスで彼女と待ち合わせて、例の物を渡す。
「これ……」
折り畳まれた白い紙おむつ。
「う、うん。ありがとう。よし、頑張ろう!」
阿舞野さんが緊張気味に受け取る。
「お、おう!」
オレも無駄に力強く返事をした。
教室に入ってしまうと、阿舞野さんは普段と変わらずに過ごしていた。
机の周りに友達が集まり、みんなで談笑している。
「12月にまた大きなイベ、あるんだよねー。それに出るつもりなんだけど」
「ちょ、うずめ、受験直前だよ? 進学するって言ってたのに、そんなことしてて大丈夫??」
友達が阿舞野さんの発言に驚いていた。
オレもちょっと驚く。
「でも、JK時代最後のイベだし、出ないと後悔しそうだしさ」
夏のイベントでは阿舞野さんを優勝させてあげられなかった。
今度は高校生最後になるわけだから優勝させてあげたいけれど、オレの小遣いじゃたいした投げ銭にはならないし……。
何か阿舞野さんを優勝に導く方法はないだろうか。
そんな感じでいつもの日常を過ごし、いよいよ今日もラストの数学の授業まで時刻が進んだ。
なるべくトイレへ行くのを数学の時間まで我慢する約束を二人でしている。
せっかくやると決めたのに、出すものがないなんて話にならない。
ラストの授業前の休み時間、オレと阿舞野さんはそれぞれおむつを履きにトイレへと準備しにいくことにしていた。
使用後のおむつを廃棄する用のビニール袋もちゃんと二人分用意してあるので、その辺もぬかりない。
オレはなるべく教室から離れたトイレへとおむつを履きに行った。
知っている顔がないように別棟のトイレまで出向き、周囲を確認すると素早く個室に入って、制服のズボンと下着を脱ぎおむつを着装する。
下着はポケットに突っ込んだ。
汚いかもしれないが、これも阿舞野さんとの秘密の行為の為だ。仕方ない。
教室へ戻ると、後から阿舞野さんも戻ってきた。
彼女も準備してきたようで、少し動きがぎこちなく見えた。
なんせ股がゴワゴワするので違和感がある。
やがて数学の授業が始まった。
オレはけっこう我慢しているので、今すぐにでも出したい気持ちはある。
でもあんまり早く出すと股間が濡れた状態で長く過ごさなきゃいけない。
なので授業時間が残り十五分まで我慢しようと二人で決めていた。
ただトイレへ行きたい気持ちを我慢してると、時間が経つのが遅く感じるものだ。
隣の席へ目をやると、阿舞野さんも同じなのか、足を組んだり戻したりとソワソワしていた。
オレももう授業の内容なんて頭に入ってこない。
ただただ時計の針が約束の時間にならないか、一秒一秒を噛み締めるよう。
受験生だというのにこれでいいのだろうか。
だけど、いくら時間が経つのが遅いとはいえ、時が止まるわけじゃない。
やはり約束の時刻は来る。
その時になり、オレは隣の阿舞野さんへと視線を向けた。
彼女もオレの方を見る。
オレは目配せして合図を送った。
阿舞野さんは緊張した面持ちで口を動かした。
「だ、す、よ」
声に出さずに口パクでオレに伝える。
オレも黙って頷いた。
彼女は硬い表情で黒板の方へと顔を向けた。
逆にオレは阿舞野さんの方を目を逸らさずに見る。
これもいい漫画を描くため。
彼女のリアリティある表情を見逃してはいけない。
やがて机の上で握り拳を作っている阿舞野さんが小刻みに震え始めた。
いよいよか。
あの紺のスカートの中で、いま彼女の体内に溜まった汚水の放出が行われているのだ。
阿舞野さんの横顔は紅潮して、目はバキバキに見開いている。
スリルと羞恥心に全身が襲われているようだ。
まさか量が多くておむつからこぼれ床に広がる、なんてことはないだろうな!?
そんなことになったら「黒歴史」なんて一言では片付けられない事態になるだろう。
そんな阿舞野さんの様子を見逃すまいとオレの目も、必死に今の彼女の様子を記憶していく。
長い時間だったように思うけど、それでも一分ぐらいだろうか。
前を向いていた阿舞野さんがオレの方へ視線を戻し、泣くように顔をしかめた。
「き、も、ち、わ、る、い」
彼女の口がそう動き、オレにメッセージを送る。
そりゃそうかもしれない。
なんせ股間が濡れた状態なんだから。
どうやら床にはこぼれてないようだ。
よし、阿舞野さんだけに気持ち悪い思いをさせるわけにはいかない。
オレも挑戦だ。
黒板の方へ前を見据えると、腹部に力を込めた。
緊張のせいか出にくい。
やがてオレの排水も開始され、徐々に股間の辺りが生温かくなってくる。
うん、確かにこれは気持ち悪いな。
とはいえ、長い我慢から解き放たれた爽快感もある。
気持ち悪いと気持ち良いが重なる感じ。
これは、なんだか複雑な体験だ。
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