38ページ目.夏と花火と私に誘い
期末テストの成績は散々だった。
高3の夏。
これは夏休み、本腰を入れて勉強しなければ。
ところで
本気で芸能界への道へ進むのかな。
進むのならどこかの事務所に入ることになるだろうけど。
もしかしてライバー部の部員は、バックアップしてくれてるライバー事務所に所属できるのだろうか?
それでもやはり希望者全員というわけにはいかないだろう。
オーディションみたいなのはあるだろうけど。
でも阿舞野さんの外見とスキルなら大丈夫、勝ち抜けると思う。
オレも将来の夢を持たないといけないのかな。
漫画家……といいたいところだけど、そう簡単になれる職業でもないし。
確かに、面白い漫画を描いて他人に評価されたいって気持ちがあるの真実だけど……。
そう頭の中で思いながら、今夜もラノベ部の部長、
阿舞野さんとの秘密の撮影会。
あの時に撮った彼女のビキニ画像を見ながら。
撮影会の様子が絵になってゆく。
この漫画が実話だとは誰も知らない。
でも漫画にしたところで他人が読んでも面白いのかな、これ。
実際にやってるオレと阿舞野さんはドキドキを楽しんでるけど。
そう思いながらも漫画を描いて時間を潰していると、スマホが鳴った。
SNSにメッセージが届いたようだ。
画面を見ると送り主は阿舞野さんから。
《おつかれー。来週さ、碧井川で花火大会あるじゃん? ゆらっち一緒に行かない?》
内容は花火大会へのお誘いメッセージ。
えっ……?
オレに花火大会の誘い??
オレは中学、高校と花火大会へは行ってない。
基本、ぼっちで一緒に行く相手がいなかったからだ。
小学生の時に親と一緒に行ったぐらい。
そんなオレに花火大会の誘いなんて。
しかも相手は学校で人気者の阿舞野さんから。
一緒に行く他の友達は、オレも共に行くことを了承したんだろうか。
《他の友達はオレも行くことOKなの?》
なんだかオレが行くと迷惑なような、気を遣った情けない質問だ。
かと言って、阿舞野さんの友達でオレが仲の良い人なんていないのは事実だし。
阿舞野さんから返事が来た。
《他は行かないよん。誘ったのゆらっちだけだし》
マジか!? なぜだ?
《他の友達はいかないの?》
念を入れて聞いてしまう。
《みんな夏休み早々旅行行っちゃってさー。あたし、ライバー部のイベあるし活動に専念したいから行かなかったんだよね。でも夏っぽいことしたいじゃん? だからゆらっちと花火見に行こうかと思ってさ》
なるほど。
それならオレも気兼ねすることなく行けるな。
《それなら行こうか》
オレはOKの返事をする。
《そうだ、ふわりちゃんも誘うのはどう?》
阿舞野さんからの提案があった。
えっ、阿舞野さんとふわりちゃんとオレの三人?
このオレが女子二人と花火大会に行くなんて、去年なら想像もつかなかったことだ。
本当に未来は何が起こるかわからないな。
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