25ページ目.陰キャ手伝うの夜
またライバー部の彼女の配信があるので、オレは観ることにした。
うーめろこと阿舞野さんのルームには、始まりから多くのリスナーが集まっていた。
『うーめろしか勝たん!』
開始早々、みんなと同じようにオレも定型文の挨拶を送る。
『みこっちさん、いらっしゃい!』
スマホの画面に映る、小さな阿舞野さんがひとりひとりに挨拶してくれる。
『実は今日、みんなにお知らせしたいことがあるんだけど』
画面の阿舞野さんが言った。
コメント欄が、
『なになに?』
『超気になるんだけど』
『いまから告知タイムです』
と、みんなの興味津々なコメントで埋め尽くされる。
『アタシ、7月のガチイベに参加しまーす!』
阿舞野さんが発表する。
ところでガチイベってなんだ?
『MeMeeってファッション雑誌があるんだけど、みんな知ってる? それのさ、モデルになれるイベントが7月から始まるんだよね。それに参加しようと思ってんの』
阿舞野さんは雑誌のモデル権を懸けたイベントに出るらしい。
『アタシ、将来は歌とかダンスとか、色々マルチにやりたいし、モデルやるのも夢なんだよね。だから今回チャレンジしてみるって決めたんだ。だからね、ガチで優勝したいイベントなので、みんなも応援して! よろしくお願いしまーす!』
なるほど、ガチイベとはガチで勝ちたいイベントのことか。
『おー! マジか』
『応援するよ!』
『花集め任せて』
『うーめろには夢を叶えてほしいな』
リスナーのみんなが阿舞野さんにコメントを寄せる。
次々投稿されるみんなのコメントを読むと、どうやらイベントでは期間内にリスナー投げたアイテムの総合ポイントで決まるようだ。
『各ブロックの上位三人が、8月の決勝に進めるんだ。配信は一日3時間までだから、時間配分悩みそうなんだよねー』
阿舞野さんがイベントの説明をする。
オレはこういうの初めてで慣れてないけど、やっぱり阿舞野さんには優勝してもらいたいし、自分が漫画家になる夢を叶えたいように、彼女にも夢を叶えてもらいたい。
こうなったら精一杯阿舞野さんのイベント優勝に向けて手伝うぞ!
といっても、今のところ陰キャのオレにできることといえば、配信見て、応援コメント送って、アイテム投げるぐらいしか手伝えることは思いつかないけど。
でも陰キャなりに、ちからになってやるぜ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます