23ページ目.葛藤の素の上で
6月。
衣替えの時期だ。
みんなブレザーを脱ぎ捨て、夏の心躍る灼熱に備える。
教室で見る
その阿舞野さんとの新しいプレイなんだけど、続きのアイデアができたと、ラノベ部部長の
オレは放課後、ラノベ部へと向かう。
「できました。これがストーリーの続きです」
ツンとすましていた部長も、ちょっとノリノリになってきてるような??
それは思い過ごしかな。
「ありがとうございます」
年下の部長であっても、たっぷりの感謝の意を込めて丁寧に頭を下げるオレ。
早速、部長様から頂いた原稿に目を通す。
「……これは!」
部長が考えてくれた続いてのプレイは、なんと学校の屋上でビキニ姿の阿舞野さんと二人だけの撮影会という内容。
しかもその水着は休日に二人で買い物に行って選ぶというストーリー。
もしこれを再現するとなると、オレは阿舞野と一緒に買い物に行くってこと??
それってもしかしてデート!?
オレは今まで女子と二人きりで買い物なんてしたことないから、どうしよう?
オレは少したじろいだ。
でもよく考えたら、阿舞野さんはみんなには秘密のプレイがしたいだけだから、別にデート部分は省いてもいいんじゃないかな?
オレが一人でショップ行って水着を買ってきて、阿舞野さんに着てもらうとか?
って、周りの視線が気になるわ!
男一人で女性用の水着売り場で買い物できるか!
人の目を気にしない真性の変態にまで
漫画のストーリーって言えばデートしてもらえるかも??
でもなんか阿舞野さんにデートしたいがために、ストーリーを作ったと思われても嫌だ。
かと言って、これが人生初のデートチャンス。
阿舞野さんと一緒に買い物に行きたい自分に嘘はつけない。
この葛藤を克服する方法はただ一つ。
阿舞野さんに正直に話すしかない。
その日の夜、オレから阿舞野さんにSNSでメッセージを送った。
《漫画の話の続きできたよ》
《マジ! 次も超楽しみなんだけど》
相変わらず阿舞野さんは喜んでくれる。
誰かを喜ばせることができるのは嬉しいことだけど、でも素のオレは……。
《内容は明日の朝話すから、また登校したらエントランスに集合しよう。そのときに伝えておきたいこともあるし》
オレは阿舞野さんのメッセージにそう返した。
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