その後

 

 伯爵家の茶会から帰りますと、珍しい事に、お父様が出迎えてくれました。

 どうなさったのでしょう?


「お帰り。ベアトリス、バーバラ」


 お父様が、こんなに早くに屋敷に戻られているなんて…明日は雨かしら?


「ただいま、あなた」


 お母様は、にこやかに微笑むと、お父様と抱擁を交わします。


「お父様、ただいま帰りました。随分お早いお戻りだったのですね」


 私も続いてお父様と抱擁を交わしました。


「ふふふ。バーバラのことが心配で仕方なかったのね。お仕事にも手が付かなかったのではないかしら?」


 お母様が茶化します。

 すると、意外にも図星だったのでしょう。お父様は首まで真っ赤になり、背を向けてしまわれました。


「御心配なさらなくても大丈夫ですよ。バーバラと気が合いそうな令嬢もいたようですから」

 

「本当か!」


 振り返ったお父様は目が飛び出るのではないかと思うほど驚いた表情。

 それは酷くありませんか?

 私に友達ができないと、お父様は考えていたのでしょうか?

 つい、ジト目でお父様を見てしまった私は悪くないはずです。淑女としてはいけないことでしょうけど。


「ゴホンッ!それはいいことだ。」


 私の目線に気付いたのか慌てて言い直しております。

 普段は、冷静沈着なお父様ですけど、家族の事になると冷静でいられなくなってしまうところがあります。困ったものですね。お母様は「そこがお父様の可愛らしいところよ」と仰ってますけど…可愛いですか? 時々、お母様の感性についていけませんが、私が淑女として未熟だからでしょうか?


「お父様、今度、お友達を招待してお茶会を開いてもいいですか?」

 

「……と、友達…」

 

「はい」

 

「……そうか、そうか。勿論だとも。盛大に茶会を催そう!バーバラの友人達を親も一緒に招待して丁寧にもてなそう。バーバラと相性がいいか見届けなければならないからな」


 お父様は楽しそうに茶会の計画を立てております。お母様も一緒ですから、華やかな茶会になりそうですね。



 その後の、我が家の『お茶会』に出席したメンバーの半数の家が我が家の紐付となっておりました。

 お母様曰く「想定内の事だわ」と仰っておりましたが……。

 因みに、私のダイエット方法を実践なさった令嬢は一人もいませんでした。事細かに教えたのですが、話せば話すほど顔色を悪くされて「私では無理のようです」と断る方が続出しました。何故でしょう?


 私のダイエット方法は後に『バーバラ流』とまで言われ、何時しか『騎士』を目指す方々の間で流行になっていたのです。



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