実は、ぼっちの令嬢
困りました。
本当に困りました。
どうしましょう。
婚約者様の仰る『女友達』ですが、残念ながら、私には友人と呼べる存在が一人もいません。つまり“ぼっち”なのです。
その前に、『お茶会』を開催したり、招待されたりすることもありません。お父様も、お母様も口を揃えて「まだ早い」と仰るのですが早い事はありません。寧ろ、遅いくらいです。
ふ~~~~~~~っ。
両親が時期早計と判断したのです。
きっと、私には思いもつかない考えがあっての事でしょう。
ああ!
そういえば、昔、一度だけ『お茶会』に参加したことがあります。
私と同じ伯爵令嬢が主催する『お茶会』に招待されたのです。
初めての『お茶会』。
両親は「バーバラはまだ小さいからお茶会は早いんじゃない? 嫌なら断ってもいいんだよ?」と言ってましたが、私が我が儘を通したのです。それというのも、同じ歳のお友達が欲しかったからでした。主催者の少女は4〜5歳ほど年上だったことも魅力的に感じたのです。お友達もいいけれど、お姉様のような存在にも憧れていましたから。美しい令嬢と評判の方に理想の姉を夢見ていたのかもしれません。
この『お茶会』に参加すれば、その両方が一気に手に入る。そんな希望を抱いていたのです。
――在りし日の茶会――
「みっともないデブね」
主催者の伯爵令嬢は、私を指差して言い放った瞬間、周りに沢山の
なにが起こったのか全く分かりませんでした。
「貴女、どこの令嬢?ああ。いいわ。何も言わなくて。こんなに肥え太った子豚なんですもの大した家柄じゃない事は確かね。それにしても一体なにを食べたらそんなに太るの?これじゃあ、豚の方がまだマシじゃない?」
「その通りですわ。どうせ男爵家クラスでしょう」
「私たちが親しくするレベルじゃありませんわ」
「ひょっとすると、准男爵クラスではありませんこと」
「一代限りの貴族など貴族と呼べませんわ」
「全くです。平民と同じ。だからこんなにブクブクと太っているのでしょう」
「豚は豚らしく小屋にいれば宜しいのに」
「「「「「「おほほほほほほほ」」」」」」
伯爵令嬢だけでなく、他の令嬢達も大笑いしていました。
なにがそんなに楽しいのでしょうか?
この事は、その日の夕食で両親に『一日の出来事』としてお話しいたしましたわ。
今までに経験したことの無い出来事でしたから、私も随分、熱心に話し込んでしまいましたわ。
お陰で、夕食後のデザートを食べるのが遅くなってしまったほどです。
お父様もお母様も、それはそれは
その後、両親は「私がお世話になったお礼をしなければならない」、と丁寧に準備を始めておりました。
各家に
皆さんが「喜んでくれているといいな〜」と思い、次も会うのを楽しみにしていたのですが、あれっきり会う事もないままです。なにやら身内に不幸なことが起こり、領主の家は領地に戻ってしまいました。法衣貴族の家庭は『地方活性化』の責任者として田舎に移り住んでしまったのです。せっかく仲良くなれると思っていたのに本当に残念でした。両親は「大きくなったらまた会える」と慰めてくれました。私としては先の未来よりも「今」仲良くなりたかったので残念で仕方ありません。
これが原因でしょうか?
別れを悲しんでいた私のために、両親は『お茶会』の参加を断わるようになったのです。
それ以前に、誘ってくださる数が全く無くなった事も不思議でした。
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