返答は「NO」
悪い予感はよく当たる、とは誰が言ったのでしょう。その通りになりました。断りの手紙が届いたのです。その時の内容が、「王族に嫁ぐ、もしくは他国に嫁ぐ姫君ぐらいしか自分の教えに耐えられる方はおりません」といったものでした。やはり、と思う一方で落胆が隠せません。
「バーバラ、そんなに落ち込む必要はない」
「お父様?」
「お前に落ち度は無いのだ」
「伯爵家の令嬢如きでは教える以前の問題だと判断されたのではないのですか?」
「それは違う」
何が違うのでしょうか?
返答にも書かれていましたでしょうに。
「ミレニウス女史の今の生徒は公爵令嬢だ。それもただの公爵令嬢ではない。次期、王太子妃だ」
「では、
「正式な書簡は
「他所からの
「その通りだ」
「お父様、私が知ってしまって良いのですか?」
「はははははっ!! 構わんよ。数日後には、皆が知ることになるのだ」
「なら、良かったですわ」
本当に良かった。
政治的な事を詳しく知るのは、ある意味で危ない事ですからね。
ですが、納得もしました。
恐らく、公爵令嬢はミレニウス女史からプライベートでのマン・ツー・マンの
今の王妃様は公務が大変苦手と聞き及んでおりますから。
噂では「、
所詮、噂の領域ですからね。けれど「されど噂」といいますし「火のない所に煙は立たぬ」とも申します。王妃様が公務に出てこないのは有名な話なのです。いいえ「公務に出せない」とも言われておりますので満更嘘でもなさそうです。
私の教育が出来ない理由は解りました。
それでも私の熱意を知っていただく必要がございます。
何故、ミレニウス女史の教育を受けたいのか。受ける必要性があるのか。私の事を何も知らないまま断られるのも納得がいきません。私のやる気をアピールする必要もあります。ミレニウス女史が今まで受け持った生徒達と違って、立派な肩書も身分もありませんが、熱意だけは誰にも負けない事を訴えねばならないのです。
私は思いの丈を紙に綴りました。
毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、手紙を送り続けました。
それが功を奏したのは、8ヶ月と25日と七時間の後のこと。
ジャンヌ・ミレニウス女史が当屋敷を訪ねて来られたのです。
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