マーキングしたがり幼馴染とマーキングされたがり妹が離れてくれないんだが
ふぃるめる
第1話 ちょった変わった二人
「あむっ……んちゅ……れろれろ」
うっすらと開いた瞼の隙間には、俺の体に跨る美少女が映る。
そして首筋に濡れた感触。
これがいつもの光景――――――。
頼むから母さん、幼馴染が家に来たからって玄関を開けないでくれ。
「あはっ、起きた?」
何故か恍惚とした表情で見下ろす幼馴染の
「ったく……起きた?じゃねぇよ……」
「今日も刻んじゃった♡」
首筋が、ちょっぴりヒリヒリする。
絵梨奈に渡された手鏡を覗くとくっきりとしたキスマークが刻まれていた。
「体育の授業ないから問題ないよね?」
いや……この行為に問題が大ありなのだが……。
「でも、こんな私みたいな美少女に毎朝起こされてぇ、
うん、確かにな!
普通に起こされるんなら幸せかもしれないな!
あと、おはようのキスなんかがあったらもっと幸せかもな!
でもお前は違うんだよ……。
この起こし方は絶対違う気がする。
毎朝、こんな風にキスマークを付けられたり、舐められたりして起こされるのだ。
それでも絵梨奈は彼女じゃない。
家が近所の幼馴染だ。
こんなことをするくらいなら彼女に出来そうじゃん、そう思った時期もあった。
むしろ、そうなって欲しいと願った時期もあった(過去形)。
でも彼女曰く、「彼女になったらいつか別れちゃうかもしれないじゃん?だから誰よりも近い幼馴染ってことで!」ということらしい。
なんでそれがキスマーク何だ?と聞いたら、「だって大夢は私のモノって証になるじゃん?」と、のたまった。
「まぁ、普通の男だったら幸せなのかもしれないな」
「それってどういう意味?」
「だって、毎朝キスマが親にバレないか心配しながら朝食を食べ友達にバレないか心配しながら学校で過ごすんだぞ?……疲れてきたかもしれん」
「んーそっかぁ、なら見えないところにするね!」
「あー、その方がいいな」
もう止めても聞かないから諦めて好きにさせている。
それが俺とちょっと変な幼馴染の付き合いだ。
「お
トントンと部屋の扉をノックするのは妹の
「ん、あ、あぁ、今行くよ」
「あちゃー、茜音ちゃん来ちゃったかぁ」
そう言うと絵梨奈は俺の上から立ち退き乱れた服を直した。
ガチャッという音ともに茜音が部屋へと入ってくる。
「やっぱり泥棒猫が来てたのね」
感情の死んだような声でそう言って絵梨奈を睨みつける茜音。
「むふふ〜そんなことないにゃ」
それを意にも介さず受け流す絵梨奈。
しばらく険悪な雰囲気が流れるのはいつものこと。
「ちょっと、お兄と話があるから絵梨奈さんは玄関に戻ってください」
「マーキングね〜、了解」
「はぁ?うるさい!」
手をヒラヒラと振って部屋を出ていく絵梨奈。
「さて、お兄。邪魔者は消えたので、その……いつもの、お願いします……」
さっきまで纏っていた剣呑な雰囲気はどこへやら、頬を赤らめると上半身だけ起き上がった俺の上に乗った。
いわゆる対面座位的な姿勢だ。
「ったく、しょうがないな」
茜音は無防備に白い首筋をさらけ出した。
俺はそれを合図に茜音を抱き寄せてその首筋を吸う。
「んっ……」
これだけで済めばいいのだが茜音は少し欲張りだ。
「耳も」
「わかったよ」
優しく耳を咥える。
「っあ……んくっ……」
腕の中で僅かに震える茜音。
漏れる声だけを聞けばR指定になること間違いなしだ。
昔は俺も変な気分になりそうになったが、毎朝のことでもう慣れた。
慣れって怖いな。
「もういいか?」
「今日のところはいいにしてあげます」
そう言って立ち上がると茜音も部屋から出ていった。
これが俺の日常。
そして俺にマーキングしたがる幼馴染と俺にマーキングされたがる妹の日常だ。
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