第6話 泥沼のロシア軍

 ウクライナ戦争の戦況はここ数日、一進一退の膠着状況です。

 停滞はしていますが、戦力バランスに変化が起こりつつあるように感じます。

 その最大の要因が、ロシア軍高級将官達の戦死の報です。


 ウクライナからの発表によると、2022/3/18に、ロシア軍司令官、アンドレイ・モルドヴィチェフ中将が、ウクライナ軍の砲撃により戦死したとのことです。


 これまでも少将が四名ほど戦死していると発表されていましたが、今度はさらに階級の高い中将です。

 昨今の戦争において、軍事大国の中将が戦死したなどという話は、聞いたことがありません。

 これは極めて異常な事態です。

 防衛側のウクライナ軍の中将が戦死したのであれば、徹底抗戦の末の玉砕を考えるのですが、攻撃側の中将が戦死するなど、これまでの戦争ではあり得ません。

 戦争は基本的に、下っ端の兵隊がむやみやたらと死ぬ世界です。司令官は滅多に死にません。

 この異常事態は、何処から起こるのでしようか。



 ① ロシア軍の通信が解読されている。


 これが報道などで言われている一番の理由です。

 ロシア軍は作戦の初期段階から通信状態が劣悪で、情報によると平文の無線で通信しているとか。これはロシア語が理解できれば下手をすると、そこいらのラジオでもロシア軍の話が聞き取れます。

 また、携帯電話などの一般回線も利用しているようです。

 作戦行動中の軍隊において、普通はあり得ませんが。


 これらの通信を傍受し、いつ、どこに、誰が来るのか分かれば、狙い撃ちは比較的容易です。

 古くは太平洋戦争で、連合艦隊司令長官、山本五十六が通信を解析され、アメリカ軍の待ち伏せ攻撃により戦死したと言われています。



 ② NATO軍が通信解析をしている。


 防戦に忙しいウクライナ軍に、膨大な通信を、傍受、解析しているリソースがあるとは考えにくい。

 ロシア軍の通信の解析は、アメリカを中心としたNATO軍によって行われているのかもしれません。

 今回の戦争においてアメリカの情報筋は、これまでの汚名を返上するような働きをしているように見えます。

 これは、軍事介入のギリギリを攻めた作戦でしょう。

 素早く正確な情報は、完全武装の十個師団に勝るとも言われています。



 ③ ロシア軍内部に、ウクライナ側に情報を流している人物が存在する。


 私はこれが最大の理由ではないかと考えます。

 幾ら、ロシア軍の通信がお粗末で、ウクライナ軍とNATOが優秀でも、この短期間で将官五名の戦死は多すぎです。

 あり得ないと断言できるレベルです。


 ロシア軍将官の正確な動向を、一番知っているのは、他でもないロシア軍将官です。

 私はロシア軍上層部に、ウクライナ側にわざと情報を漏らしている人物が、複数人いるのではないかと考えます。

 通信状態が混乱しているであろうロシア軍で、現状でこれを行う事は比較的簡単だと思われます。

 適当な理由を付けて、強度の弱い通信回線に意図的に情報を流せば、後はウクライナ軍とNATOが処理してくれます。

 与えられた情報により、標的を確殺するウクライナ軍にも恐れ入りますが、私はこの三者の連携プレーではないかと考えます。

 


 ・結論


 現状、ウクライナは国土を侵食されていますが、戦力バランスは徐々にウクライナ側に傾きつつあると感じます。

 下っ端の兵隊とは違い、将官連中にはスペアがほぼ存在しません。

 特に、中将は無理です。

 自衛隊でいえば、東部方面の司令官が戦死したようなものです。あらゆる基礎的な命令がストップします。

 隷下の部隊は大混乱を避けられないでしょう。その数は、下手をすれば数万人に及びます。

 ぷーちんが泣こうが喚こうが、軍は行動不能に陥ります。

 補給線もまともに構築できていないようですので、前線部隊からは脱走兵も多数発生しているでしょう。


 もしかしたらロシア軍は、春に溶ける雪の様に、自然と瓦解するかもしれません。

 希望的観測ではありますが、可能性としては高くなったように感じます。



              終わり

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る