カンガルーは考える

麻倉 じゅんか

二刀流? どういう小説を書けばいい?

例えば野球に例えるのなら


 作家はピッチャー。

 作品は投げるボール。

 賞を取るなり読んだ人から称賛を受けることはストライクを取ることなんだと思います。


 しかしその前には評価という強打者がいる。

 しかも9回裏満塁カウント2−3の状況。


 さあ、どうやってストライクを取るか、という場面なんじゃあないでしょうか。


 こう例えてみることにしまして。


 今回のお題は『二刀流』だそうです。

 言ってみれば、運営監督から『二刀流で抑えろ』の指示が出たようなもの。


 ……あ、もちろん実際に一般に言われている『(野球での)二刀流』のこととは違いますよ。


 考えてみましょう。


 直球ストレートに投げる。

 つまり二刀流というお題を真正直に捉えると


『二振りの刀剣を使う者・あるいは剣術』


 これに合わせて作品を作りボールを投げ、ストライクを取る、ということになります。


 しかしバッターを舐めてはいけません。

 ストレートで見事にストライクを取るには、かなりの制球力と急速が必要です。


 自分は、この例えでは、


制球力=作家自身の執筆能力

急速=作家の人気や名声


 だと思っています。


 ……そのどちらも持ち合わせていない自分には、ストレートでストライクを取るのは難しいと思います。



 ストレートが駄目なら変化球はどうでしょう。

 二刀流を変化球で例えると


『2つの要素の組み合わせを持った何かが物語の中心に居る・ある』


 だと思います。例をあげれば


『メイド』×『同級生』

『剣士』×『魔法使い』

『教師』×『殺し屋』


 等々。無数にある組み合わせのどれかを持った存在が話の中心にいて、物語を動かすのです。


 ……決してカップリングの話ではありませんよ。


 変化球は強力です。決まればバッターほ翻弄されてストライクが簡単に取れるかもしれません。


 ですが同時に、上手くコントロールしないとコースを外れやすくもあります。

 制球力のない人がストライクを取った場合、それは《まぐれ》です。どんなに見事な作品でも。


 ――やっぱり制球力、もとい執筆の能力は必須ですね……。



 あとは、直球でも変化球でもない、まだ誰も見ない強烈なインパクトを与えるもの。


 ……魔球でしょうか。


 たしかに強烈です。ただ強烈なだけではなく、新聞の一面記事級です。

 ですが同時に……巧く投げられないと変化球より更に外しやすい。暴投になることもザラです。


 一応、どんな作品を書けば魔球になるのかを考えてみましょう。


 その条件は当然、お題を、ストレートとも変化球とも違う様に捉えるということです。

 今回の場合『二刀流』という言葉を


・『二振りの刀剣を使う者・あるいは剣術』

・『2つの要素の組み合わせを持った何か(舞台設定以外)が物語の中心に居る・ある』


 ――以外の意味で捉えてみます。


 …………。


 むむっ。何か見えてきました。


 一人のお嬢様。

 個性の違う二人の執事(男性)。

 お嬢様は夜な夜な……。


 ストップ、ストップ! これじゃあボールどころかボークになっちゃうじゃあないですか! 大暴投ですよ!



 ――とまあ、今回はそんな感じです。


 作品を創るのって、難しいですね。

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カンガルーは考える 麻倉 じゅんか @JunkaAsakura

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