第4話

ふと、勇人は自分の手の甲に印字されてるバーコードを見る。これは自分の体が機会である証である。


技術が発展したこの時代では人型ロボットが街にいるのは普通のことであり、市役所の受付や食料品店のレジなどロボットで対応している場所も多くある。


だけど、『人に作られた』ということは誰もが知っており、誰もが心のどこかでロボットを見下していた。


特に昔の愛嬌もなく決められた言葉しか喋れないようなロボットは全く人扱いをされることは無く、むしろ丈夫なサンドバックのように思っている人もいた。


そんな風潮は根強く残り弱まることはない。


なんでも自分の言うことを聞く執事のような存在として人型ロボットを買う人も出てきたため足首に製造番号、手の甲にバーコードをロボットに印字することが必要になった。人間と間違えないように。


手の甲のバーコードは隠すことは許されていない。


このせいで勇人は不審な目で見られる。それは一緒に歩いている未菜にも降り注ぐ。


勇人は意思があるとはいえ傍から見たらただの人造ロボットに過ぎない。服の下の機械がそれを示している。むしろほかのロボットとの違いは意思があるかないかだけである。


周りの目が怖くて、恐ろしくて思わず下を向く。


察してくれたのだろうか、未菜が勇人の手を引いて人目につかない場所に連れていった。


「2人で話そう。何も解決できる訳では無いけど。」

未菜は優しく勇人に語り掛ける。



「普通の人になりたい。このバーコードも足首の番号も消して未菜と二人でいたい。」


勇人は未菜に向かって話す。


「どうしてだろうね。幸せになりたいだけなのに。いつもいつもあと少しというとこで終わっちゃう。」


未菜は泣きそうな声で言う。


「私たち、なにか悪いことしたのかなぁ。神様がいるなら助けてくれればいいのに。」


次々と未菜の目に大粒の涙が溢れる。勇人は未菜の涙を優しく拭う。


「何も分からないんだ。未菜の体温も、料理の味も。こんなに悔しいのに涙1滴出てこない。俺には未菜のことが好きだってことしか残ってない。」


勇人は諭すように未菜に言った。もし未菜が自分を捨てるならそれでもいいと思っていた。


「私は、勇人と一緒に入れればいい。私以外の誰もが勇人を嫌っても私だけは勇人を嫌いになることは絶対にない。勇人の1番の味方は私だから。」


未菜は勇人を見つめて言った。未菜は赤く頬を染めて勇人の手を握った。


「家に帰ろう。」


2人は少し暗くなった道を歩いて帰った。









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