《一葉のクローバー》一歩目の覚悟

次の日、僕は朝にザシコから頬をつねられて起床し、テーブルには親父が作っておいてくれた冷めた目玉焼きと白飯とお茶漬けの素だけが置いてあった。朝の忙しい時に用意してくれてありがたいと思うと同時に、すぐ様この状況に対応できてない自分に凹んだ。ザシコが頬をつねらなければ起きていなかったかもしれない。今までどれだけ他人に甘えていたのか……心がモヤモヤしたまま親父が用意してくれたご飯を食べた。冷たかったが温もりを感じた。ザシコは


「ここからじゃな」


と、どこから持ってきたのやら、おむすびをぱくつきながら呟いた。まるで先のことがわかってるかの様に。僕はそんな事など気に留めず、ご飯を食べ終わるといつもの様に慌ただしく駅へと向かうのであった。当然の如くザシコはカバンに入っていた。


誰にも母のことを言わず、普通に学校生活を過ごした。本当に普通に。そして帰宅した後、母の病院へ行き、作り笑顔で病室前まで来た。しかし、心配をかけない様に笑顔が良いであろうと思う反面、かえって無理に明るく振る舞ってるんじゃないかと悟られ、母自身を追い詰めてしまうのではないか。答えのない問題に僕は只々悩み続け、そして病室に入れずにいるのであった。

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