第27話 ディン
魔王は一緒に旅した仲間の双子姉妹が大切な話があるというので部屋に入れた
ハナは一歩下がった所で聞いて、前に出たミミが切り込むように聞いた
「ミナト、ゼルディンと兄弟って本当なの?」
「何故それを!?」
「……本当なのね」
「まさか、イチなのか?違うよな?」
「多分この世で一番貴方をお慕いする人から、教えて貰ったのよ」
「何も教えて無いんだが」
スパァン!!!!
メイドから魔王様への平手打ちが飛んだ、それも光のような速さと威力であり魔王ですら10メートル吹き飛んだ
「何をするんだ!?」
「大事な事を隠していた相手に、隠していた事をずっと後ろめたく思っていたのよね?そしてそれは実は相手が王妃様でイチさんに代わりに言って貰ったと聞いたわ」
「……」
「ミナトあんたね!?結婚したんだから妃にとっても兄弟になるのよ!!イチが教えたの何て当たり前じゃない!!アンタが教えなさいよバカ!!」
「最もな意見、だな」
「何で言わなかったのよ?」
「勇気が無かったんだ」
「ヘタレ」
「……けっこう、心に突き刺さるな」
「王妃様の望みは『ゼルディンを部下にしたい』だそうよ」
「な!?」
「っていうかどっちが兄なのよ?アンタに兄弟いたってのも驚きだけど」
「兄は奴の方だ」
――――――――――――――――――――――――
旧世界、ミナト7歳
「お兄様、お父様が話があると」
「ミナトはまだ幼いのにおつかいが出来て偉いですね」
「もう七つです」
むくれるミナトを撫でるゼルと、メイドロボットがそれを見て
『キョウダイ、ナカイイノハ、イイデスガ、ハヤクシナイト、オコラレマス』
「分かってますよ、すぐ行きます」
「私もお仕事を手伝いたいのに……!」
さらに我が儘を言っていれば
『≪ミナト・ディン≫ サマ、ソレイジョウハイケマセン』
「あとでお勉強を教えてあげますからね」
その言葉でようやく引き下がる、父親が科学者で兄は手伝いをしている事までは知っていたが彼は何をしているのかをまだ知らなかった。
XX年後には全てを知る事になった
クローンに知能を最初からつける技術を父親が発表した
そんな恐ろしい事やめてくれと父親と口論になり
軍事立場の強い父親は『ミナト』を死刑としたが
「これを、クローンの識別ナンバーです」
「兄さま!?」
「国の為に家族を犠牲にするのが正義なら、私は正義なんていりませんよ……クローンのふりをすれば逃げられるように1000番台は貴方を元に顔を造らせました」
「でも、そんな事して、私がいなくなったら兄さまは!?」
「行ってください、まぁ……なるようになりますよ」
ミナトがクローンとしての逃亡生活が始ってすぐの事だ
空に浮かぶスクリーンが写すニュース映像を眺めていた
『本日、ディン家の長男であるゼルディン様が亡くなられていたことが明らかに……』
信じられなくて、確かめに行こうとしてミナトは捕まった
野良のクローンがディン家に侵入を企んだとして
廃棄場で呆然としていた時に
「ここから逃げようよ」
最後の自由を満喫してやろうと思えたのは、6024が偶然そこにいたからであった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます