第26話 家族
時は現代に戻る、王妃6024は全ての昔話を聞き終えると静かに言った
「どうにか、もう一度会えないかな」
「会って何を話すつもりです?」
「僕の部下にしたい」
「人のいう事を聞くような者なら、生きた人間の目をえぐるといった残虐な実験を誰かが止めていたのでは無いでしょうか」
王妃は教育プログラムを施された事による痕が残っている、首を少しさすった。
「取引は出来ると思う、それに生きているのならむしろ近くに置いて置く方がいいよ」
「ふむ?」
「遠くで未知の事を、万が一ミサイルでも造られたら1358、魔王様でも戦うのは厳しいと思う」
「それは……」
「旧世界で『最も平和』と呼ばれた時代とされてる『カサナシ』の事覚えてる?」
「お互いにシールドが無くて国同士でミサイルが飛ばなかったんでしたっけ」
「うん、それでなんだけど魔王様が死ぬと都合が悪いのは向こうだと思ってさ」
ゼルディンの目的が科学の発展ならば『抑止力』があり安定している現状のほうが都合がいい、争いをする国は他国よりも文明は何年も遅れるというのは旧世界では常識である。
「なるほど、しかし置いておくにしてもどうやって呼びよせます?魔王様にも」
「堂々と言う」
「許してくれますかね、あの『人』は……そろそろ部屋に戻ります」
「お休み、6155」
「6024様も早めに休んで下さいね」
ついに話し合いの長い夜が終えた、次の日を迎えた朝である
「ミミさんもハナさんも、忙しいのにごめんね」
「王妃様が呼ぶなんて何かと思ってるわよこの子」
「壺とかはまだ割ってませんよ?ちょっと椅子が一つ壊れましたけども……!!」
「二人ともゼルディンが生きていた事って耳に入ってる?」
「それは勿論知ってはいますが」
「僕は彼が欲しい」
すこし、二人は困惑した
魔王との新婚で何故そんな『悪人』を欲しがるのかと
「えーと、欲しいというのは不倫的な意味ではないですよね……?」
「部下として城に招きたい」
「はい!?失礼ながら申し上げますが、あの男はロクデナシですよ!」
「人間の感覚は分かっているつもり、反感が絶対に出る事も」
「ええ、あっハナ大丈夫!?嫌なら嫌って言っていい場面だからね!?」
誘拐された身寄りのない子供だったハナは、元々庶民が多いこの国中で一番の被害者と言える、そんな彼女は少し考えた。
「まずはアタシに話した訳を、聞かせて下さい」
「……」
「被害者だから、ですか?」
「そして魔王様を助けたい人という条件が必須だった」
「助けたいって?」
次の一言は双子の姉妹が双方、耳を疑った
「魔王様と彼、兄弟なんだよ」
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