え?二本目の刀はそれですか?

plutoniumプルトニウム

え?二本目の刀はそれですか?


 「誰か助けてー!!!」


 この悲鳴はもう聞きあきた。ったく、ようやく日銭稼ぎの仕事が終わったというのに、もう仕事以外では魔物を倒さないと言ったのに、優しいオレめ。を聞いた瞬間に、すぐそっちへ向かっちまったじゃないか。

 どれどれ?今日の魔物はどんな感じか?


 ひとつ目の巨体の魔物が村の中で堂々としていた。片手には村一番の美貌の小娘を握っており、村の畑や、家なんかを踏みつけまくっていた。


 「誰かー!!!」


 もしかすると、助けたらボーナスに加えて、あの小娘を貰えるかもしれない。よーし。

 俺は、女に弱い。刀を腰から抜き、こちらも堂々として村の中に入り、魔物に近づいた。


 「さ、侍が来たぞー!!!これで魔物を倒してくれるんだ!」


 村人の顔には安堵が見え、小娘も安心したように笑みを溢した。


 「村の者共!少し下がりたまえ。あっしの刀は無差別だからのぉ。」


 何てカッコつけたフレーズもしっかり言って、刀を構えて魔物に飛び掛かった。フン!!!

 思いきって振り下ろした刀は、見事に魔物に読まれ、すぐに避けられた。そのあげくに、魔物は腕を捻らして思いきって俺を叩き飛ばした。


 「よ、弱い…あの侍…」


 村の人々からは、安堵から急に心配、どよめきの雰囲気が走った。え?アイツ弱いやん。

 フッ、と、まるで最初はふざけて手加減してましたよみたいな笑い方をして、また次の一撃を始めた。が、それも見事に空振り。からのまたもや叩き飛ばされるという…何ともダサいやられ方を二回連続も…

 村人の顔は、もうどよめきどころではなく、中には怒っている奴なんかもいる。小娘も、気持ち怒っているようで涙目になっている。


 「ハッハッハッハ!!敵もなかなかやりますなぁ!どれ、あっしもそろそろ本気を…」

 「おい!侍さん!お前は弱いんだ!認めて早く逃げるんだ!」


 村長らしき人物が、俺にそう言った。なかなか傷付く一言だ。


 「分かりました。なら、次の一撃で倒せなかったら、あっしはここからトンズラしようか。あと一撃で…」


 「無茶だ」「馬鹿なのか」「見てられない」そんな野次が飛ぶなか、俺はさっきと同じように刀を構えた。


 「おーい!お前さん!わかったから!もう勘弁してくれ!お前さんの命が持たねぇ!」

 「まぁ、見ていてくださいよぉ!」


 そして、さっきと相変わらずに同じように飛び掛かって刀を振り下ろした。すると、やはり空振り。村の人々も「あちゃー」という表情…

 しかし、俺はとある棒を後ろから遅れて振り下ろし、その棒はドストライクに魔物の頭を叩きつけ、魔物には大きなでこ、そして、若干つぶれた。魔物は、その痛さに小娘を投げ飛ばし、村からトンズラした。そして、投げ飛ばされた小娘を、しっかりと抱き拾い、村の人々からは歓声が起きた。

 と、思いきや、皆、不思議そうな顔をしている。はてなマークが浮かんでいる。


 「お前さん、侍のお前さん、その武器は何だね?」


 村長は、俺が携えている隠し玉ともいえる、豚の腸詰めソーセージを不思議そうに指をさした。


 「これはあっしの持つ名刀、豚の腸詰めソーセージでっせ。普通の刀と共に携え、二刀流という訳ですわ。」


 村の人々は、誰しもが納得していなかった。


 「あぁ。疲れた。礼は、そうだな、ここに泊めてくだせぇ。」


 俺は、そう言って村の奥へと向かった。


 「あ!思い出した。」


 村長が、何かを思い出す。


 「聞いたことがあるぞ、確か、と言った西洋の豚の腸詰めを持った侍が、困った人を助けるって…」


 豚の腸詰めソーセージ侍は、今日も人を助けた。


 

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え?二本目の刀はそれですか? plutoniumプルトニウム @tarusyo

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