第158話 ルーファス

(ミラ、そっちはどうだ?)

(これは魔王様。今、あの女に借りを返したところです)

(そうか。必要ならアルスを送るが?)

(お心遣い感謝いたします)


「おにぃ?どうしたの?」

「ああ、ミラが逃げた聖女を倒したそうだ」

(アルス、処理を頼めるか?)

(任せて〜)

「そっか…ミラさんが…流石だなぁ」

「みんなが問題なさそうなら、合流しようと思うんだが…」

「うん。私は大丈夫だ」

「ってか、あたし達ほとんど何もしてないしね…」

「リヒトは?」

「ああ。俺も問題ない」

「OK。なら、行くぞ。ドルフ!」

「はっ!」

 現れたドルフが影渡りを発動した。

 ――――――――――――――――

「魔王様」

「それが、この迷宮ダンジョンコアだな?」

「はい。ですが…」

 真央の問いにミラが答えるが、どうにも歯切れが悪い。

 眼の前の巨大な魔石―迷宮核ダンジョンコアに目をやると、その床に魔法陣が刻まれているのがわかる。

「なるほどな…」

「申し訳ありません。安易に破壊して良いものかどうか…魔王様の判断を仰ぎたく…」

 パッと見ではその効果はわからないが、この魔石を核として、何らかの魔法陣が起動しているのはわかる。

 そこで、魔法に関する知識において右に出るものはいない配下を召喚する。

「ルーファス!」

 真央の隣に魔法陣が輝き、そこから執事服に身を包んだ黒髪の男が、片膝をつき、胸に手を当てて、頭を垂れて現れた。

「我が君。貴方様へお仕えする身なれど、この度の遅参…申し開きの是非もなく…いかような罰でもお受けいたします…」

 どうやら、ルーファスは他の幹部たちが次々と召喚される中、自分だけが主の役に立てていないということにかなりの罪悪感を感じているらしい。

 同種の魔物との遭遇が開放のきっかけとなるのだ。それを踏まえると、ルーファスの開放は難易度が高いと言わざるを得ないのだが…

「それは俺にも責がある。なかなか開放させてやれなくて、すまなかった…」

 責任を感じているので、俺も素直に頭を下げたのだが、

「頭をお上げください、我が君!主が配下の者へとそう簡単に頭を下げるべきではありません!」

「なら、ルーファスよ。これからも俺にその力を貸してくれ」

「はっ!この命尽きようとも、魔王様の手足となることを改めて誓います!」

「早速、頼みがある」

 俺は魔石の置かれている魔法陣に目を向ける。

「なるほど…魔力集積と魔力転送の魔法陣ですか…」

 一目見ただけで、そこまで簡単に判るかよ…流石だ。

「これに触れた者や、このダンジョンで死んだ者から魔力を吸い上げて貯め込み、何処かへ送っているようです」

 無闇に壊さなくて正解だったということか…

「壊せるか?」

「少し時間をいただければ、容易いかと。」

「頼んだぞ」

「お任せ下さい」


 魔法陣の解析をルーファスに任せて、俺はミラに問いかける。

「それで、聖女から情報は得られたか?」

「なかなか口が堅いようでしたので、グリムに任せてあります」

「グリムか。それなら情報を聞き漏らすこともないだろうな…」

 早速グリムを呼び出して話を聞く。


「やつらの計画とやらは分かったのか?」

「はい。先ずは魅了により女神の信者を増やし、そやつらから大量の魔力を集め、一斉に世界を超える扉を開く予定のようです」

「それはいつになりそうだ?」

「十分な魔力は集まったと言っておりましたので、近日中には…」

 世界中のダンジョンから、異世界の軍隊が侵攻してくるということか…

「わかった。急ぎ影狼達を世界中に配置して、監視させよう」


 後は、やつらの戦力を把握したいところだな…

「リヒト。分かる範囲でいい、お前や聖女の他に大罪スキル…いや、福音スキルと言ったほうがわかりやすいか?それを持っているやつの情報はあるか?」

「大罪スキル…か。なるほど…言い得て妙だな。確かにあれ等は福音などではないからな…」

 リヒトが憤怒、聖女が色欲だったな。という事は、残るは暴食、傲慢、強欲、怠惰、嫉妬の5つだが…

「俺の知る限りでは、俺と共に魔王討伐パーティーに加わった奴らが持っていたはずだ」

 勇者パーティーというと、残るは騎士と女盗賊、それと爺の魔道士だったか…

「暴食スキルは、元王国騎士団長だった男、グラート・ニールセン。強欲スキルを持っているのは、女盗賊シーフのシャルネ・ハーメス。魔道士のマドゥーサ・エストが怠惰。そして、女神教の大神官のゴーマニ・ブライトンが傲慢スキルを授かっている。嫉妬はわからない…」

「なるほど…敵勢力の中で気をつけなければいけないのはそいつらって事だな」

 大罪スキルはどれもこれも強力だ。嫉妬スキルの持ち主はわからないと言うが、あのスキルの性質上、異世界人が持っていてもそれほど脅威にはならないだろう…


「我が君。魔法陣の無力化が終わりましてございます」

 他の仲間たちから話を聞いているうちに、ルーファスが仕事を終えたらしい。相変わらず、有能だな。

「わかった。なら、早速、このダンジョンを消してしまおうか」

「御意」



 …

 …

 …


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………


 もう何度目かも覚えていないが、慣れた手筈で迷宮核を破壊し、女神のかけらを倒すと、大きな地響きを立てながら、女神教の拠点であった塔型のダンジョンは消滅した。


【名前】ルーファス・クロノワール

【種族】堕天使ルシファー

【LV】999

【HP】38000/38000

【SP】99999/99999

【力】4100

【知恵】9999

【体力】3800

【精神】9999

【速さ】4200

【運】99

【スキル】

 叛逆の心、威光、魔導の極み、全属性魔法、魔法創成、魔力同調、魔力収束、消費SP半減、限界突破、

 超再生、HP自動回復、HP回復量増加、SP自動回復、SP回復量増加

 念話、言語理解、気配察知、魔力感知、並列思考、高速思考、無詠唱、天眼、空間収納、

 物理攻撃耐性、魔法攻撃無効、精神攻撃無効、全状態異常無効

 ――――――――――――――――

 あとがき。


 いや本っ当に申し訳ありません…

 全然書けずに更新が遅くなってしまいました…


 しかも、予告詐欺となってしまいました。プロット組んでないので、次回予告はしないほうがいいかな…


 今回は最後の幹部ルーファス登場回になりました。


 不定期更新で申し訳ないですが、これからも頑張って最後まで書き切りたいと思ってますので、お待ち下さい。


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