第123話 Sランクのかけら
「おにぃ!美智子さんは?」
「ああ。会長に預けてきたから、多分大丈夫だ」
「そっか…よかった。それで、これからどうするの?」
「そうだな…とりあえず、みんな!集まってくれ!」
俺の呼びかけに、仲間たちが全員俺のところへと集まってくれた。
「ここの迷宮主は倒せたから、このダンジョンにはもう魔物は生まれなくなった」
「うん。竜種の氾濫とか洒落にならないからな…」
「ただ、迷宮核に執着してた奴らがあっさり引き下がったがのが気にかかってな…」
「そうだよ!あいつら!美智子さんを犠牲にするなんて…許せないわ!!」
「ただ、奴らの言うことも一理ある。依頼を受けたのは奴らで、このまま帰っても、迷宮核を引き渡せって言われると思うんだ」
「そっか…そうだね」
「だから、ここで迷宮核を砕いて、ダンジョンを消してしまおうと思ってる」
「「「!!!」」」
「でも!そんなことしたら、迷宮核はどこだ!?って追求されない?大丈夫かな?」
「追求されたって、ないものは出せないからな…」
「相手は国とか、政府ってことになるんでしょ…?」
「そうかもしれない…けど、あの3人の凶行が、レベルアップポーションのせいだとしたら…迷宮核を渡して、レベルアップポーションを広めるようなことは避けなくちゃダメだと思うんだ…」
「そっか…わかった!あたしはおにぃの意志を尊重する!」
「そうだな。わたしも真央を信じてるから!真央のやりたいようにやれば良いと思うぞ」
「そうね。父さんも母さんも、まーくんのしたい事をすればいいと思うわ。後のことは大人に任せなさい!」
「元々、真央さんを巻き込んだのは
「みんな…ありがとう。ただ、これから出てくるのはSランクのかけらのはずだ…今までみたいに簡単には倒せないと思う…」
「覚悟はできてるよ」
「父さん…」
「母さん達は、その為に神様に鍛えてもらったんだから!」
「母さん…」
「あたし達は足手まとい…かな…?」
「すまない…みんなを守りきれる自信は今の俺にはないんだ…」
「そっか…悔しいな…」
「ただ、外にはまだ奴らがいるかもしれないから、離れたところで見ていてくれ」
「う、うん!わかった!気をつけてね!」
「アルス!みんなの守りを厚くしてくれ!」
「わかった!任せてよ、マオー様!」
「影狼達はみんなに1人ずつ付いて、緊急時の避難を頼むな」
「「お任せください!!」」
「あ、あの…みなさん、一体何の話をしていますの?」
「そうか…麗華は見たことなかったな…迷宮核を砕くと、中から魔物が現れる。異世界の女神の力を宿した、強力なやつがな…」
「神…神と戦うおつもりなんですの!?」
「神と言っても、その力の一部を宿したかけらだけどな」
「そんな…」
「今まで何度か倒したけど、砕く迷宮核のランクによって、出てくる敵の強さが変わるみたいなんだ。そして、これから出てくるのはSランクで間違いない…」
「
「おそらくは…な」
「わかりましたわ。悔しいですけれど、認めるしかありませんわね…」
「すまないな…麗華には麗華にしかできないことがあるだろ?今回は俺の役目ってことだ」
「
「頼もしいね。ま、今回は俺に任せてくれ」
「ご武運を…」
「咲希…」
「真央…わたし待ってるから!」
「ああ。咲希を残して死んだりしないよ。約束する!」
「うん!信じてる。私もいつか必ず真央の隣に立てるように頑張るから!」
震える咲希を抱きしめ、頭を撫でる。
「じゃあ、行ってくるな!」
「ああ!」
「父さん、母さん、準備はいい?」
「ああ」
「アルス、父さんと母さんの守りは厚くしてるな?」
「うん、大丈夫!」
影狼達も配置についてるな?
「よし、ならば全員召喚!」
俺の前に整列するのは今までに開放した仲間達だ。
俺は迷宮核を地面に置き、距離を取る。全員に戦闘態勢を取らせたまま待機を命じ、
「レオン!やってくれ」
「了解シマシタ!」
レオンカイザーの輝煌剣が振り下ろされた。
バキィーーーーーンンン!!!
砕けた迷宮核から靄が立ち上り、女神の影へと変わっていく…
今までのかけらと違うのは、その背に羽が生えていることが確認できるのと、それから発せられる濃厚な死の気配だ…
「愚カナル人間ドモメ…神ノ力、ソノ身ヲ持ッテ知ルガイイ!!」
喋るのかよ…
「魔物鑑定!」
【種族】女神のかけらS
空中に浮かんだ、女神のかけらから魔力の高まりを感じる。
これは!あの全方位無差別攻撃か!?
「アルス!全力防御!」
「わかった!」
仲間達全員に付けてあるアルスの分体が女神のかけらから放たれる黒い刃を受け止めるように立ち塞がる。
ザシュッ!ザシュ、ザシュ、ザシュッ!!
避けきれない刃を受けたアルスの分体が少なくないダメージを受けたことがわかる。
やはり、攻撃力が上がってるか…後手に回ったら押し切られそうだ…
「リーナ!」
「ええ!任せてください!
リーナの腕から伸びる輝く光の鎖が、女神のかけらを拘束する。
「コンナモノデ私ヲ捕ラエタツモリカ…?」
パリィィーーンンン!!
「そんなっ!?」
女神のかけらを拘束したのは、ほんの少しの間だけで、
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