第5話 真・魔物作成

 勇者到来の知らせを受け、支度を整えている間に、この世界に来てからの出来事が走馬灯のように思い出された。

「ふっ…」

 改めて、ろくでもない人生だったなと思い返し、この世界とクソ女神ルフィアへの怒りが込み上げてくる。

「ステータス」

【名前】シドー

【種族】魔王

【LV】999

【HP】15345/15345

【SP】65500/65500

【力】3980

【知恵】9999

【体力】3450

【精神】6700

【速さ】4260

【運】99

【アクティブスキル】

 魔物作成モンスタークリエイトLV10(MAX)、

 武神LV10(MAX)、

 気配察知LV10(MAX)、絶隠密LV10(MAX)、未来予知LV10(MAX)、

 縮地LV10(MAX)、空歩LV10(MAX)

 魔神LV10(MAX)、

 魔力操作LV10(MAX)、魔力感知LV10(MAX)、無詠唱、思考超加速LV10(MAX)、並列思考LV10(MAX)、

 邪眼LV10(MAX)、鑑定LV10(MAX)

常時パッシブスキル】

 不老不滅、身体能力超強化LV10(MAX)、超再生LV10(MAX)、回復量増加LV10(MAX)、魔力超回復LV10(MAX)、魔力回復量増加LV10(MAX)、

 物理無効、魔法無効、精神攻撃無効、全状態異常無効

EXエクストラスキル】

 女神の制約、魔王の運命さだめ

【称号】

 転生者、世界を超えし者、勇者の贄、世界の敵、逃亡者、殲滅者、ダンジョン踏破者、竜殺しドラゴンスレイヤー、武神、魔神、絶対防御、魔物創造主、統率者、魔物コレクター、知識を求めし者、全てを超えし者


 200年という歳月で辿り着いた自身の強さを確認する。

「俺はあのクソ女神ルフィアに届いたのだろうか…?」

 その問いに答えてくれる者はいない。

 世界中から情報を集めても、結局、女神のいるであろう神界へ至る道は見つけることはできなかった。

 女神を討つという目標を掲げ、鍛錬を続けてきた200年であったが、それも今日で終わる。


「行くか」

 この先に待っている終焉にその身を委ねる決意と共に、配下の皆が待っているであろう玉座の間へと足を進めた。


 ………オカシイ


 静か過ぎる…


 勇者到来の際には、「全魔物は集合せよ」との命令を出してあったはずだ。

 俺のレベルは999へと到達し、今、俺が従えている魔物モンスター数は最大の999体だ。

 なら、この先の大広間には999体の魔物モンスター達が俺を待っているはずなのだ…


 扉を開け、玉座の間に入ると、そこに待っていたのは、たった5人の人型の魔物モンスターだけだった。


 彼らこそ、俺の魔物作成モンスタークリエイトがLV10となり、開放された真の能力によって、俺が全身全霊を込めて作り上げた、至高の魔物モンスター達であり、我が軍が誇る最強の幹部達だ。


魔物作成モンスタークリエイト

 LV6…群体編成

 LV7…魔物進化

 LV8…成長限界突破

 LV9…魔物強化

 LV10…真・魔物作成


 LV6の群体編成でようやく、同種1体という制限が解除された。

 世界中に散り、情報を集める部隊として、影に潜み、影から影へと転移可能な影狼シャドウウルフの群れはかなり重宝している。


 LV7で魔物の進化が可能になった。

 俺のレベルが低いうちに作成した低ランクの魔物モンスター達はレベル上限も低く、ほとんどが上限に達し、成長が止まっていたので、上位個体へと進化させ、さらなる成長を促し、戦力を充実させた。

 とはいえ、世界の記録アーカイブからは直接、進化後の魔物モンスターを作成できるので、この能力の真価に気づくのはLV10になってからだったのだが…


 LV8で魔物モンスターのレベル上限を突破させることが可能になった。

 この世界では各魔物モンスターにはレベル上限がある。

 最終進化までさせてもLV50程度で上限に達する魔物モンスターなどもいるので、

 その上限を突破できるという点で有用なのだが、この世界の生物はLV99が上限であることが確認できた。

 ただし、俺だけは例外で、【世界を超えし者】の効果でレベル上限が突破されている。

 つまり、俺の配下の魔物モンスターだけはLV999まで成長が可能になったのだ。


 LV9の魔物強化で俺のSPを使うことで、魔物モンスターの能力値を上げることができるようになった。

 オーガ並みの膂力を持ったゴブリンなんかも作ろうと思えば作れるのだ。

 ただし、消費するSPは多いので、際限なく強化するということはできなかったのだが…


 そして、Lv10で開放された、真・魔物作成こそがこのスキルの真価だ。

 魔物作成モンスタークリエイト世界の記録アーカイブへと接続アクセスし、そこに記載されているリストの中から選択し、魔物モンスターを呼び出すスキルだ。

 現状、世界の記録アーカイブにあるリストの魔物モンスターは全種類選択可能になっている。

 世界の記録アーカイブには、過去、この世界に存在した全ての魔物モンスターが記録されているのだが、どう見ても、その種類は少ないのだ。数にしておよそ100種程度。

 中でも最強の魔物モンスターがドラゴンなのである。

 何の属性もない、ただの下級のドラゴンが過去、この世界に存在した最強の存在なのだ…

 あくまでも推測だが、あのクソ女神ルフィアがこの世界の創造主なのだとしたら、魔物モンスターの造形なんぞに拘るとは思えないから、その辺りは適当に最低限で済ませたとかじゃないだろうか…?


 そして、真・魔物作成は世界の記録アーカイブに存在しない魔物モンスターも俺のイメージで作成可能なのだ。

 魔物進化とも併用し、この世界に存在しない進化先へと進化を促すことも可能だった。

 こうして、俺は持てる知識、イメージを注ぎ込んで、魔王軍の魔物モンスター達をヤリタイ放題強化していったってわけだ。


 そんな最大限の強化を施した幹部5人しかおらず、

 残りの994体の魔物モンスターの姿がない。

 この状況を問いただすべく、幹部筆頭の男へと問いかけた。


「これは、どういうことだ?」

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