SAZA-人体変異感染症-

熊猫いつき

はじまり

「こっち空いてるから3人の患者もってこい!」

「先生!患者さんが痙攣始めました!」

「先生!3つの小学校から感染とみられる児童と教職員がいるみたいです!」

とある国で突然前例のない極めて異例な感染症が横行した。症状は激しい頭痛と共に体温が40℃以上、そして、痙攣が始まる。全ての症状が終われば今度は骨格から肌と人間の体全てが二足歩行型の動物のような姿に作り替えられる。このような病は科学的にもあり得ない。だが、それがここ、日本の西側に位置する都市である愛媛で発生した。


7日前、一人の男性が病院に搬送されてきたことから始まった。

「村山先生、急患です。」

「どうした!?」

村山先生と呼ばれる男はストレッチャーで運ばれる男性を見ながら救急隊に質問していた。すると、

「ゴフッ」

「おいおい結構やばいじゃねぇかよ」

突然、ストレッチャーで運ばれている男性は吐血してしまった。他にも耳や目からも出血があることを村山は確認すると、首にかけてあるスマホに電話をかけた。

「村山です。集中治療室1つ開けといてください。急患です。」

そして、村山と救急隊は集中治療室に向かった。


集中治療室に入ると既に待機していた看護師が駆けつけた。

「先生、えっ、この人結構危ないじゃないですか!」

「あぁ、だから急いでくれ。」

村山は集中治療室前に到着すると、室前で待っていた看護師が村山の元へ駆けつけ、ドアを開けた。

「ベットに乗せるぞ!吐血確認済みだから気をつけろよ。」

「はい。」

「「せーの」」

急患をベットに乗せると、村山は腕で額の汗を拭った。看護師達も急患の状態を見て、少し緊張しているが先ほどよりは落ち着きがあった。

「な、なんとか終わったな。」

「そうだ、町田さん、急いで保健所に電話して!」

村山は思い出しかのように、ベットに運ぶときに手伝った看護師の町田さんに連絡をお願いした。村山は町田さんが電話をしている間に急患の状態を見ていたときだった。

「う、う、がぁ、あああああああああああ」

「お、おい。どうなってんだよ」

突然急患が体を仰け反らして苦し始めた。町田さんもその瞬間を見ていたのか、電話をしながら悲鳴を上げた。

「あああ、ゴフッ」

「うわぁ。まじかよ」

村山が急患を抑えようとした瞬間、急患は吐血をし、その吐血は村山の顔に勢いよく付着してしまった。それでも、村山は我慢しながら急患が落ち着くのを待った。


数時間後、

窓から覗く光は真っ暗となってしまった。村山は町田さんや看護師達を集中治療室から退室させ、ベットで眠る急患を見ていた。

「マジで、こんな病気があるのかよ。」

村山はそう愚痴りながら急患を見ていた。その急患は、爪が明らかに人間の物ではなくなり、股間部には何か尻尾らしき物が見えていた。

『もし、仮にこれが感染症だったら。。。救急隊に聞いた時は、少なくとも吐血の通報されてから現場まで8分は経過していた。これでこいつの血を浴びた奴がいたりしたら。。。』

「とんでもねぇことになるぞ。。。」

そう呟きながら、村山は今日の疲れに負け、壁にもたれて眠ってしまった。

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