二刀流の最強剣士 ~世界の果てで隠居生活をしていた私、押しかけ弟子に捕まりました。こうなったら、私の二刀流(意味深)を味あわせてやるか~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

第1話

「ふう……。今日も平和だな~」


 私はそう呟きつつ、森を眺める。

 ここは世界最果ての秘境。

 獰猛な魔物が出るけど、私は強いから大丈夫。

 私からすれば、ただのおいしいお肉だ。


「よーし、今日は狩りに行こっかな」


 そんなことを考えていると……。


「きゃあああっ!」


 不意に悲鳴が聞こえた。

 この森には滅多に人は来ないんだけど……珍しいこともあるんだなぁ。

 とりあえず、助けに行こうかな。

 私は声がした方に駆け出す。


「ゴアアアッ!!」


 そこには巨大なクマがいた。


「いやあああっ! 誰かっ! 助けてえええっ!!」


 へたり込んだ少女が泣き叫んでいる。

 その手に握られている剣は、中ほどから折れていた。

 クマと戦ったときに折れたみたいだね。


「あなた、下がってなさい。私が倒すから」


 私は少女の前に立って、剣を構える。


「あ、あなたはっ!?」


「私? 私は通りすがりの隠居人だよ。サクッと片付けるから、気にしないで」


「む、無理ですよぉ……。ブラッディベアーを倒すなんて……」


 少女が絶望的な表情を浮かべる。

 確かにブラッディベアーはそれなりに強い魔物とされている。

 そこらの兵士や冒険者なら勝てる見込みはないかもだけど……。


「大丈夫。任せておいて」


 私は自信満々に答える。


「あああ……。もうおしまいですぅ……。剣聖様にお会いする前にこんな魔物と出くわすなんてぇ……」


 少女が泣き言をこぼす。

 そんなことを言っている間にも、クマがこちらに狙いを定めている。


「グオオオッ!」


 そして、私に向かって突進してきた。


「ふんっ!」


 それをヒラリと避け、すれ違いざまに首筋を切る。

 ズバッ!

 クマの首から鮮血が吹き出る。

 これで終わりっと。


「ふぅ……。もう大丈夫だからね?」


「す、すごい……! ブラッディベアーを一撃で倒しちゃうなんて!」


 少女が目を輝かせながら言った。


「いやいや、これくらい大したことじゃないって」


「そんなことありません! ブラッディベアーはこの辺では最強の魔物なんです! それを一人で倒せるなんて、すごいです!」


 少女が興奮気味に言う。

 ……まあ、悪い気はしないかな。


「でも、ブラッディベアーが最強? あんなの、いくらでもいるよ?」


 実際、私にとってはそれほど強くはなかったし。


「ええっ!? そんなはずは……」


「……ええと。あなた、もしかしてあそこにある死の谷を超えてきた人?」


「はい……。あの谷を超えた、ずっと南の方から来たんですけど……」


「じゃあ、知らないのもしょうがないか。あそこを堺に、魔物の分布が変わるんだよ。街に近いあっちの森では、ブラッディベアーは最強クラスの魔物かもしれない。でも、秘境とされているこちら側では、むしろザコぐらいの立ち位置だね」


「そ、そうなんですか……」


 少女の顔色が真っ青になる。


「ま、私が来たからにはもう安心だよ。なんでここに来たのか知らないけど、谷の向こうの安全なところまで送ってあげる」


「あ、ありがとうございます。……と言いたいところなのですが、わたしはただで帰るわけにはいかないのです」


 少女が神妙な顔つきで言う。


「ん? どういう意味?」


「実は、私は剣聖様をお探ししているのです」


「け、剣聖様ぁ!?」


 いきなり突拍子もない話が出て来て、私は思わず大きな声を出す。

 剣聖と言えば、世界最強の剣士に与えられる称号だ。

 剣士ならば、誰しも一度は目指す称号である。


「ええ。わたしは剣聖様に会わなくてはいけないんです。二刀流の最強剣士と名高い、剣聖様に」


 少女が真剣な表情で続ける。


「私は数年以上ここに住んでいるけど剣聖様には会ったことないよ」


 そもそも、この辺りに私以外の人は住んでいない。


「はい。私も、簡単に会えるとは思っていません」


「なら、一度帰った方がいいんじゃないかな? 情報が足りてないでしょ」


「しかし……。せっかく、ここまで来ましたのに……」


 少女が残念そうな顔をする。


「うーん……。でもねぇ……。この森はそこそこ危ないよ?」


 私は腕を組んで考える。

 はっきり言って、ヒントも無しに剣聖様を探すのは難しい。

 少女が一人で探すのならばどうぞご勝手にと言いたいところなのだが、この森で放置するわけにもいかない。

 放っておけば、数分後には死体になっていそうだ。


「……おっと、噂をすれば……」


 私は空から飛んでくるドラゴンを見つけた。

 あれはディザスタードラゴンだね。

 人間を好んで襲うタイプのドラゴンだ。


「え? ド、ドラゴン……?」


 ショワワ……。

 少女の股間から黄色い液体が漏れる。

 ディザスタードラゴンは、ブラッディベアーとは比較にもならない強力な魔物だ。

 常人では、見ただけで失禁してしまうのも仕方ない。


「大丈夫だよ。私が守ってあげるから」


「えっ……。あっ……」


 私は少女を抱きしめる。

 そして彼女を優しく後方へかばい、ドラゴンに向き直る。


「さて。ディザスタードラゴン相手なら、さすがに少しは本気を出さないとね」


 私は腰から剣を2本抜く。


「グオオッ!!」


 バサバサッ!!

 ドラゴンがこちらに向かって急降下してくる。

 そして私に向かってブレスを放つ。


 ゴオオッ!

 凄まじい炎が迫る。


「焔裂き」


 私は左右の剣でブレスを切り裂く。

 ズバッ!


「ガアッ!?」


 ディザスタードラゴンが驚愕に目を見開く。

 ブレスはバラバラになり、私の左右を通り過ぎたのだ。


「次はこっちの番だよ」


 私は右の剣を振りかぶり、そのままドラゴンに振り下ろす。


「月牙斬り」


 ザシュッ!


「グアアアッ!」


 続けて左の剣で胴を切りつける。


「風神裂波」


 ズバババン!


「ギャアァ!」


 ディザスタードラゴンが激しく悶絶した。


「とどめっ!」


 私は地面を踏み込み、ジャンプして空中で一回転しながら剣を振る。


「飛天斬」


 ザンッ!!!


「ガッ……」


 ドラゴンの首が宙に舞う。

 ボトリッ……。

 首が地面に落ちた。


「ふう……。こんなもんかな」


 私は剣についた血を払いながら言う。


「……………………」


 少女がポカーンとした顔でこちらを見ていた。


「ん? どうかしたの?」


「す、すごいです! まさかドラゴンを倒してしまうなんて……。それに今の二刀流は……」


 少女が大きな瞳をさらに見開きながら言った。


「いや、だから大したことないって。ただの隠居人だし」


 私は苦笑する。


「そんなはずありません! あんな動き、普通の人ができるはずがありません」


 少女が興奮気味に叫ぶ。


「うーん……。まあ、たしかに普通じゃないかもしれないけど……。でも、別に特別なことはしていないよ?」


「ええっ……? ど、どういうことですか?」


「毎日適度に素振りしたり、その辺の魔物を狩ったりしているだけだね。まあ、隠居する前には冒険者として活動していたこともあったけど。……ああ、一時的に騎士団にも所属していたことがあったかな……」


「二刀流で……。冒険者、それに騎士団? まさか、いや、そんな……」


 少女の目が泳ぐ。


「ん? どうしたの?」


「あの……、あなた様のお名前は何というのでしょうか?」


「私? 私の名前は、ラミア=ルウ。元はしがない冒険者で、今はただの隠居人だよ」


「ラミ、アルウさん……。い、いえ、そんなはずは……。しかし……。もしかして本当に……」


 少女が何事かを呟いている。


「ねえ。私の名前を教えたんだし、君の名前も教えてくれるよね?」


「あっ……。申し遅れました。わたしの名前はネメアといいます」


 少女がペコリとお辞儀をする。


「よろしくね。ネメアちゃん。と言っても、谷の向こうまで送ってあげるまでの間だけど」


 私は微笑む。


「……いえ! わたしは決めました! ルウさんの弟子にしてください!!」


「ええっ!? 弟子ぃ!?」


 私は思わず声を上げる。


「はい! お願いします!!」


 ネメアが頭を下げる。


「えっと、それはちょっと困るなぁ……」


「どうしてですか!?」


 ネメアが悲しげな顔をする。


「うーん。だってさ、私は悠々自適な生活がしたくて隠居してるんだよ。弟子とかはちょっと……」


「ご迷惑はお掛けしないように頑張りますから! 技も見て盗まさせていただきます!!」


「ええっと。でもなあ……」


「わたしはこれでも、炊事や洗濯などの家事全般は得意ですよ。他にも、何でも命じてくださいませ!」


「ええっ……。う、うーん……」


「お願いいたします!」


「ええぇ……」


 私はしばらく考え込む。

 そして、1つ気がついた。


「……ん? さっき、何でもするって言ったよね?」


「はい! わたしにできることなら!!」


「ふふふ。じゃあ、まずはここに寝転びなさい」


 私はアイテムバッグから毛布を取り出し、地面に敷く。


「はいっ! ……え? こ、こうですか?」


 ネメアは不思議そうな顔をしながら、その場に寝転ぶ。


「うん。それでいい。そのままジッとしていて」


 私はネメアの上に覆い被さり、おっぱいを揉んだ。


「ひゃわあっ!」


「ふむ……。なかなかのボリュームだ。それに感度もいいね」


 私はさらに強く胸を握る。

 モミモミッ。


「やっ、あんっ……」


「ほう……。素晴らしい触感だね。まさに極上……」


 私は胸の突起を摘んでみる。

 クリッ。


「はぅっ!」


「この反応……。初々しくて可愛い」


 私は興奮気味に、ネメアの胸を堪能していく。


「ル、ルウさん……。どうしてこんなこと……。わたしたち、女の子同士ですよぅ……」


「大丈夫。私は気にしないよ。むしろ大歓迎だし」


「そ、そんな……。ダメです……。こんなの、いけないです……」


「ほら、もっと気持ちよくしてあげる」


「んん……。そんなところ、触っちゃダメです……!」


 ネメアが身を捩らせる。


「ふふふ。かつて『二刀流のルウ』の二つ名で呼ばれた私を前にして、何でもするって言ったのは軽率だったね」


「ううっ……。まさか、こっちの意味でも二刀流だったなんてぇ……」


 ネメアがそう漏らす。


「さあ、大人しく観念しなさい」


 そうして、私はネメアの体を堪能していったのだった。

 私が『二刀流のルウ』として再び名を馳せ、ネメアが『剣姫』として冒険者の間で有名になるのは、少し先の話である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

二刀流の最強剣士 ~世界の果てで隠居生活をしていた私、押しかけ弟子に捕まりました。こうなったら、私の二刀流(意味深)を味あわせてやるか~ 猪木洋平@【コミカライズ連載中】 @inoki-yohei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ