二刀追うもの一刀も得ず

神楽岡 ラミア

VRMMORPG【亜神】

 私が今まで見てきた中で一番自由度の高いVRMMORPGだ。


 自分の使っている武器の使用時間・ヒット率・クリティカル率などが精密に計算されて職業レベルが上がる。


 弓なら弓を何時間使ったか。的や敵にどれだけあてたか。どれだけヘッドショットを出したか。


 それが計算されレベルに加算されていく。


 だがレベルが高ければ無双できるというわけでもなく、プレイヤー自身の能力もないと強くなれない。


 つまり超絶最強に楽しいゲームということだ。


 本題に入る前に「亜神」の職業についての説明を少ししようと思う。


 亜新には基本職と上位職がある。


 基本職には剣士・魔法使い・僧侶など見慣れた役職が多い。

 上位職には剣士の上位職の勇者・僧侶の上位職の賢者などがある。

 そして剣士の上位職には二刀流というものがある。


 あえて言おう。俺は馬鹿だ。とてもを「超絶最強」とかいうくらいには馬鹿だ。

 馬鹿だから気づいたんだ。『剣士でも両手に剣を持って戦えば二刀流になれるのではないか』と。


 俺にはこれを思いついた時点で実行する義務があるように感じた。


***ログイン中***


 「やってきたぞ!亜神の世界に!」

 僕はゲーム実況さながらの声で言った。


 現在の状況はキャラメイキングをして職業を剣士にしてきたところだ。

 一応剣士でも剣を日本持てることは確認してきた。


 さて、剣士の初期装備は剣1本だ。ということは剣がもう一本必要になる...。

 剣は初期に買うことを想定されていないので高く値段設定がされている。

 初期の所持金で剣を買うとその後が辛いが...。


 「いや!即行動!どうせ剣くらい直ぐに買えるようになるからすぐ買っちゃおう!」


 上位職の剣士になれれば剣の1本や2本なんて直ぐに買えてしまうのだ。


 そして僕は日記を書き始めた。これをAretubeに投稿してバズろうと思ったのだ。

 以下僕の日記である。


 一日目

 今日は剣士で両手剣を初めて使ってみた。右手で持ってる剣は直ぐになれるようになったが、左で持ってる剣はあまり触れなかった。まぁ、システム的に当然なのかもしれない。持つのは可能であるとはこのことだったか。とはいえここは「亜神」だ。使用時間によって職業レベルが上がっていく。使い続ければどうにかなるだろう。ついでに絶対に実践でしか練習しないことをここに記述しておく。


 二日目

 左手の剣になれるために右手の剣を一度しまってみた。対戦は難しく2ど死んでしまい、デスペナルティでお金を失ってしまった。雀の涙ほどしかないお金がより減ってしまった。より一層このチャレンジを成功するしかなくなってしまった。


 三日目

 少し左手の剣の扱いに慣れてきた。だがまだ軽く振れる程度で敵を倒すことは程遠い。まだそこそこ右手に依存してしまっている。これじゃあ二刀流には程遠い。


 四日目

 サボった


 五日目

 普通に練習しただけで特筆すべき点は無かった。


 六日目

 大変な事が起きた。左手の剣が壊れてしまった。これじゃあ二刀流が出来ない。かと言ってもう一本買うお金もない。どうしようか。


 七日目




 八日目




 九日目




 十日目




 十一日目




 十二日目




 十三日

 俺のもう一つの剣がなくなってしまった。俺の剣が俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣が俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣が俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣俺の剣


 十四日目

 詰んだ。


 ―ここで日記は途絶える―

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