私の心臓を僕に捧げる
サヴァレン㌩
中身のない4文字
私の心臓を貰ってくれる人はいるだろうか。
待合室の端で保険証を指先で
重い心臓病と闘う人は沢山いる。
よく観る
私はそれが嫌いだ。
別に人が亡くなることを
父親はそれを観て
「心臓病を患っていても、この人はここまで頑張っているのにお前はなぁ」
と冷たい視線をぶつける。
知ってるよ。
アンタなんかに言われなくとも私が1番私を知ってる。
「
受付の人に
「体調はどうかな?」
「今の気分はどう?」
「少しずつ良くなるから焦らずにゆっくり頑張ろうね」
お医者さんから言われたいつもの言葉が頭をよぎる。
体調も気分も、別に良くも悪くもない。
『頑張ろう』って言われたけど、私の中で精一杯に頑張っているつもりなんだけれどな
「頑張るってなんだろう」
「……思ったって仕方ない。自分の中で秘めておくのが1番の対処法だ」
そう私は私に言い聞かせることしか出来なかった。
学校の授業では手を挙げず、気配を消して黙々と配られたプリントの空白を埋める。
休み時間中も、持参した文庫本や次の授業の教科書を読んで誰にも話されない様にヘッドホンを出し、音楽を流し込む。
いつも機械音声が脳に響き渡る。
顔も名前もどこに住んでいるかさえ分からない誰かが作って発表した音楽。
その中でも再生数が少ないものをプレイリストにして聴いている。
流行りの曲を流し、「ダンスの定義」を問いたくなるような動きをし、浅ましい姿を全世界に晒すほど自分に興味がない。それをする人もいなかったし。
誰かと同じになりたくない。
反抗をする事が無駄だと感じていたはずの私の小さな小さな反抗。
昼休みは誰も立ち入らない屋上の景色の良いところで音楽を流しながらお昼を食べる。
誰とも話さない。
影でコソコソと言われているのはもうずいぶん前から察知している。多分、言っている彼らは特に理由もなく、私のことを話題にしているのだと思う。
担任の先生からも
「何か悩み事はない?」
と言われた。
私は目だけをふわりと緩ませ、
「大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」
とお礼を言う。
「あっ、あと…もう少し、少しずつでもいいから、クラスの人とコミュニケーションをとるのを頑張ってみない?」
「…分かりました。」
私は
「頑張る」か…
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