第21話

「テレビ画面には予算委員会って書いてあるけど予算委員会って何ですか?」

「限られた予算でお金の使い方を議論するんだけどね。政策が正しくされているかのチェックでもあるんだよ」

「お金の使い方で政策が決まるんですか?」

「早い話がそういうことだろうね」

 

 

お金の要る世界ではやるべきことがなかなか出来ないことに気が付いた。

そして健司に聞いてみた。

 

 

「それならやって欲しい政策はなかなか出来ないってことなんですか?」

「そうなんだよ。政策の違う議員を選挙で選ぶことでやって欲しい政策をやってもらうんだ」

「僕たちも民主主義とか国民主権とか習いました」

「そうだろうね」

「でも、やるべきことはすぐにやっています」

「それがお金の要る社会と唯一の違いなんだね」

「誰もが困ることのないように子供たちの意見も聞くようにしているんだって言ってました」

「いいな~。お金の要る社会では困った人を助けるシステムなんだよ」

「困ったら助けるのは当たり前ですもんね」

「でも、お金がなくて困ってる人は多いんだけどね」

「複雑な社会なんですね」

 

 

「で、子供の意見を聞いた大人はどうするの?」

「地区の議員さんに提案書を出すんです」

「それで?」

「議員さんが似たような内容の提案を一つにして国会で議論して急ぐことと急がないことに分類してから実行するって習いました」

「なるほどね。予算というものがないから必要と思われることはすべて出来るんだね」

「はい。これが国民主権だと言ってました」

「政党なんてあるの?」

「政党って?」

「同じ考え方を持っている議員の集まりだよ」

「そんなの無いですよ」

「どうして?」

「みんな国民のために働いているんでしょ?」

「そう言われてみればそうだよな~(笑)」


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