第19話
「どんな学校へ行ったら良いかってことね」
「そうなんです」
「大家族には良い面が多いんだね」
「とろこで、親父のことは安全だとわかったからひとまず家に帰ろうか」
「はい」
「来週は退院だから迎えに来てくれよ」
「うん。大丈夫だよ」
「じゃあ」
健司と稔は病院をあとにした。
帰路の途中で健司は病院での会話を思い出した。
稔の進学はどのようにして決めているのか?
自分の息子の進学は大丈夫だろうか?
そして稔に質門をしてみた。
「さっき稔君は進路を考えるのが楽しいって言っていたよね。進学はどのように決めてるの?」
「お爺ちゃんから体験談で聞いたお仕事とか学校で習った社会の仕事を参考にするんです」
「それだけで決めるの?」
「それだけじゃあわからないから冒険旅行でいろいろな会社に行って体験したりするんです」
「それなら決めやすいね」
「はい。でも働いても転職する人もいますよ」
「それだけしっかり決めても転職する人いるの?」
「はい。違うのもやってみたいって言ってました」
「会社は困らないのかな~?」
「必要な量を生産すれば大丈夫だそうです」
「そりゃあそうだよね。利益を上げる必要なんかないんだから。会社に迷惑なんてかけないね」
誰にも迷惑をかけずに転職できる自由さに健司はうらやましくもあった。
「それで進学はどのようになってるの?」
「中学を卒業したら専門学校へ行く人が多いです」
「どうして専門学校へ行くの?」
「自分がどんな仕事が向いているのかを専門的に学校へ行って体験するんです」
「社会に入る前に技術を身に付けるんだね?」
「専門学校でも転校できるんですよ」
「それじゃあ専門の意味がないじゃないか?」
「いろんな技術を身に付けておくのも良いんです」
「マルチ的人間だね(笑)」
「え?」
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