第18話

「そりゃあ安心だね。しかも幼児も一緒だし」

「お年寄も元気で遊んでますよ(笑)」

 

 

健司は父親の気持ちを考えて稔に聞いてみた。

なぜなら健司は父親と同居していないからだ。

 

 

「稔君の世界も核家族なの?」

「核家族って?」

「結婚したら親と離れて家庭を作るんだよ」

「お爺ちゃんやお婆ちゃんとは別に暮らすの?」

「そうだよ」

「なんだか寂しいですね」

「結婚したら別の巣を作る。鳥みたいだね(笑)」

 

 

「僕たちはお爺ちゃんやお婆ちゃんと一緒だよ」

「そういえば昔は大家族だったな~」

「大家族って?」

「稔君たちのように年寄りから赤ちゃんまで同じ家で一緒に暮らすことなんだよ」

「どうしてそういうのをしないんですか?」

「夫婦でも喧嘩するんだからお婆ちゃんと嫁さんが一緒に暮らすとトラブルが多くなるからね」

「そうなんですか。ほとんどのお家では台所やお風呂は二つずつあるんですよ」

「それじゃあお金は・・・・」

 

 

健司はお金のない世界の話だったと思い出した。

誰もがストレスのないような生活をするにはどう

すれば良いのかを考えられる世界だと思った。

 

 

「稔君はお爺ちゃんと遊んだりするの?」

「はい。お爺ちゃんの体験話を聞くのが好きです」

「そっか~、僕は親父とはあまり話さないな~」

「どうして?」

「親父の自慢話を聞くのはストレスかな?(笑)」

「そうだろうな(笑)」

 

 

そこへ父親も会話に参加した。

父親も自慢話が多いのは知っていた。

そしてお爺ちゃんの体験話が好きな理由を聞いた。

 

 

「どうして体験話が好きなの?」

「それはね、僕が大人になってどんな仕事が僕に向いているのか考えるのがワクワクするんです」

「なるほどね~。お金を稼ぐ必要がないからね」

「それがわかると自分の進路がわかるでしょ?」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る