「お金を知らない子」
マー坊
第1話
稔君は「希望稔」という小学6年生の男の子です。
家族でスキー場に遊びに来て、一人でスノボーを使って遊んでいたところ凹地に落ちて気を失い気がついて元に戻ってみたら誰もいない。
「スキー場に誰もいないなんてどういうこと?」
焦った稔はさっそくスマホを取り出して父親に電話してみた。
「あ!お父さん?」
「稔どこへ行ったんだ。みんな心配してるぞ」
「スキー場には誰もいないじゃないの」
「あ~そうか」
お父さんにはすぐわかったようです。
「あのね、心配しなくて良いよ」
「僕はどうなったの?」
「違う次元に行ってるんだよ」
「え~!そうなの?」
「心配しなくても戻れるから安心して」
「すぐ戻れるの?」
「すぐ戻れるけど、どうする?」
「どうするって?」
「違う次元でいろいろ冒険してみるのはどう?」
お父さんは稔に体験して欲しかったようです。
「何を冒険するの?」
「そっちの世界は一つ前の次元だと思うんだよ」
「それが僕にはわからないよ」
「学校で歴史を学ぶより体験で学んだほうが良いと思うんだよ」
「なるほどね」
「帰るのはいつでも出来るから心配しないで」
「うん。わかった」
「でも、スマホだけは無くさないでくれよ」
「疑問に思ったんだけどね何で電話できるの?」
「最近通信技術が新しくなったんだよ」
「へ~そんなんだ」
稔はそれが何だか聞く気にはなれなかった。
聞いたところで理解するはずが無かったらである。
電話を切った稔は
「さて、これからどうすれば良いの?」
とつぶやきながらゲレンデのレストランに向かった。
稔はレストランに近付いて違和感を感じた。
異様な臭いであった。
それは建物の裏側から漂う生ゴミの異臭である。
気になっていたが
「とりあえず何か食べよう」と。
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