2022年3月19日必要に迫られ、部屋を掃除する-残り360日-
起き抜けの私に父が告げる。
「お前の部屋に鍵を付ける話あっただろ? 工事、明日だからな」
……私には一応部屋はあるが、鍵がついていないため、両親が勝手に入ってくる。
ノックをしろ、といってもダメ。(ノックと同時に部屋に入られる)
それが非常にストレスだったので昨年末に、もし部屋に鍵をつけなかったら施設に入るか、安い借家に引っ越す、と公言していたのだ。
父が鍵のとりつけ業者と値段で揉めて、それっきりになっていたので、話はもう立ち消えになったものだと思っていたが、きちんと水面下で進んでいたらしい。
だが、問題は部屋の中が混沌としていること--私の中で最低限のルールとして、食べかけ、飲みさしのものは置かないようにしているが(虫が死ぬほど嫌いなので)段ボール、衣類、文房具、雑誌、書類……エトセトラ、エトセトラでとにかく散らかっている。
せめて一週間前に言ってくれよ……と思ったが、ぎりぎりに言われたのが却ってよかったのか、私は発奮した。
部屋をきちんと片付けてやる。
大きなゴミ袋を用意し、明らかに要らないものは捨てていく。
段ボールの中身を取り出して、中身はしかるべきところに。
邪魔くさいスマイルマークの段ボールはペシャンコにして廊下へ。
本や雑誌はなんとか本棚に収まった。最近、断捨離したばかりなのに、また読まない本が増えてきているのは良くない傾向だが。
書類はとりあえず書類ケース二つに収めた。
作業をこなしていると思わぬものが出てきた。
Wi〇Uとゲームパッド。
一時期イカのゲームで世間をにぎわせた、コンシューマー・ゲームマシンである。
実は、昨年、私はどうしてもwi〇Uのバーチャルコンソールでやりたいソフトがあり、中古のそれを1万円弱で手に入れていたのである。
――そうか、こんなの、買ってたなあ。
まさに積みゲーである。
とりあえず、ゲームパッドを取り出し、ちょっと迷った後に充電器に繋ぐ。
抗うつ薬をはじめとした薬を営業時間内に薬局に取りに行かなくてはならないし、掃除が終わった後にゲームをする時間があるかは微妙だがそれでも、なんとなく。
――それが自分の中のちょっとした「閃き」のようなものであったことは後日わかることである。
-残り360日-
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