...
いや!
薬の効果も手伝って、いままでになく熟睡したぼくは、
いやいやいや⁉︎
その朝はひどく目覚めがよくて
ちょっと待って⁉︎
頭が冴えに冴えていた。
なんで天さん、車、持ってるわけ⁉︎
「あれ? いってなかったっけか?」
朝の食堂で、まず天さんにきのうのお礼をする。
「きのうはありがとうございました!」
ぼくもネコにあわせて頭を下げる。
「や、べつに。ドライブ、楽しかったし。なぁ、ネコ?」
で、その、なんで、車…
ぼくがなにかいいたげなのを見て、天さんはそう、笑ったのだ。
え? なにかいわれてましたっけ…
「なんでって、免許くらいあるよ。車も、あっちにはおいてこれないから持ってきた」
はぁ、免許…
あ、もしかしてダブってる、て、
「オレ、もう、これでも二十四だから」
え? 二十四?
「二十四歳」
え?
「あ、雪はことし十八な?」
となりの雪さんの肩を抱く。
「ちょっと歳離れてるけど」
待って、待って。
理解、追いつかない。
「弟が寮に入るってことだからさ、ついてきたわけ」
は? 弟、弟⁉︎ いや、雪さん、弟⁉︎ この甘ったるい雰囲気は⁉︎
「あ、似てない、て? 雪は美人だからな。両親とも違うからさ。あれ? なんつか、大丈夫?」
いや、まったく。え?
まったく、てか、高校て、二回も入学できるの?
ついてきちゃって、なに?
「腹違いなんて、珍しくないだろ?」
そこじゃなくて、
「ほんとおもしろいのな、コータ、じゃ。あ、きょうから午前授業だから、昼、食ったら海に集合な?」
はは、なんて笑いながら、天さんは雪さんの肩を抱いたままいつもの席へいってしまった。
「しらなかったのかよ、コータ! だっせ!」
ネコもカラカラ笑っている。
「なになに〜、楽しそうだね。」
「…っす、」
「おはようございます。先輩、どうしたんですか?」
月子さんと冴子さん。レオとユウトも食堂へ入ってくる。
あぁ…はじめて会ったときに感じたあの半端ないパパ感は、間違ってなかったんだ…
みんなの声を遠くに聞きながら、天さんとの出会いを、懐かしく思いだしていた。
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