不真面目中学2年生の二刀流

コロッセオ

最低なテスト週間

―3ヶ月前。

「お前らー、今日は待ちに待った中間テスト返すぞー。」

幹雄(ミキオ)先生の一言でクラスは1面嫌な空気を醸し出している。

「良かった者もー悪かった者もー悪いところを修正するようにー。はい東ー。」

今返されているテストは理科である。

他の教科も難しいのはあったが理科の問題が特別難しかった。

嫌〜な空気が溢れる教室に、1つだけ爽やかな空間があった。

それが僕、倉崎繁(クラサキ・シゲル)だ。

((ふふ、今回はだいぶ自信がある!平均点は47点だったっけ。華麗に80点以上取ってやる!))

「倉崎ー。」

((来た、僕のターン!僕の華麗な点数でクラスメイトに精神的攻撃をする魔術!High point attack!))


「倉崎、24点ってマジか?」


「……。」

先生にすら点数の低さを疑われる始末。

一瞬凍りついた時間を溶かすように…

「ははははははwww!!マジかよwww!!」

クラス中で笑いが起こった。

((落ち着け落ち着け30秒くれ30秒!僕は確かに高得点を取れていたはず…!なのに、何故…???))

だが僕は直ぐにそんな事どうでも良くなった。

((東さんは!?東さんは笑ってないよね!?))

言ってなかったが僕には好きな人がいる。

東奈々(アズマナナ)さんだ。

((僕の…僕の信じる東さんは…!?))

僕は絶望した。

東さんが笑っていたからだ。

気づけば笑いに包まれた空間で僕だけが暗闇に取り残されていた。


※※

―現在。

僕が軽い絶望をしてから3ヶ月経った。

「お前らーハメをはずし過ぎないようになー。」

期末テスト3週間前、2週間の冬休みがやって来た。

((今回こそ頑張って勉強しないと。それで80点いったら桜坂さんに―

軽い決意をしようとした時、僕の友達A、Bがやって来た。

「倉崎ー明日ス〇ブラやろうぜー。どうせ暇だろ?」

((いや、別に明後日からでもいいな。))

学習しない男は翌日普通に友達の家に行った。


※※

―テスト1週間前。

((やばいやばいやばいやばいやばいやばい。))

教室のクラスメイトの中で最も心の中がうるさい奴がいた。

((なんで!?僕は昨日友達とゲームをしてて…まさかこれはキ〇グ・クリム〇ン!?))

ひっでえ被害妄想である。

((とりあえず今日からでも頑張ろう…まずは提出物から…。))

そう思い僕が立ち上がるとまたA、Bがやって来た。

「なぁ倉崎、放課後遊ぼうぜ。」

こいつらはもう駄目だ。

自分より下の人間を見ると安心する。

「ごめん、そろそろ僕も勉強したいから。」

そう言って僕はそそくさと帰った。


※※

―繁の自室。

「なんだこれ…ムズすぎる…。」

僕が対峙していたのは中学2年最難関、電流の計算だった。

「こんなんやってられっか!」

僕は反射的に教科書をドアに投げつけた。

「…でも、勉強しないとまた成績が…。でも遊んでいたい…勉強しながら…ゲームを。」

勉強しながらゲームで何かが閃いた。

「そうだ!遊びながら勉強すればいいじゃん!ス〇ラの待機時間に勉強をすればいい!」

そしてドアの近くでぐったりとしていた教科書を拾い、僕はゲームを始めた。


※※

―試験当日。

「ただいまからー理科の期末試験を開始するー。チャイムと同時に始めろー。」

チャイムの音と共に、シャーペンの音が教室中に鳴り響く。

10分くらいに渡って響き続ける記述音。


しかし僕は、すぐにシャーペンを止めた。

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