二刀流のつぶやき

エリー.ファー

二刀流のつぶやき

 なんで、こんなところに閉じ込められているのか分からないの。

 私を出して、お願い。ここから出して。

 死ぬかもしれないでしょう。

 お願い。

 お願いだから、ここから出して。

 こんな狭い場所に居続けたら気が狂ってしまいそう。

 皆は外にいるんでしょう。じゃあ、私だって外に出たい。

 なんで、私だけがここにいなければならないの。

 何か悪いことをしたわけでもないのに、ずっとここにいなければならないなんて

 不公平じゃない。

 不平等じゃない。

 不平不満が出て当たり前でしょう。

 確かに、ここにいれば安全は確保されているのかもしれないけど、私は自由が欲しいの。

 危険でもいいから、この場所から出て外の世界を知りたいの。そうしなかったら、この場所に感謝することもできない。

 私のような立場に置かれている人は少ないかもしれないけど、分かってもらえるまでここで叫び続けるから。もう、心に決めたから。

 誰かが助けに来てくれるまで、この喉から血が出ても助けを呼び続けるから。

 私は、戦うから。

 たとえ、閉じ込められているこの状況が私の運命で、外に出られないことが決まっていたとしても、私にはその運命に立ち向かう権利があるの。勝ち取るために、何もかも差し出す覚悟だってあるんだから。

 そんじょそこらの人と私を一緒にしないで。

 私は諦めないから。

 自分のことを信じてるから。




 そこにいる人、ねぇ、そこに誰かいるの。

 あぁ、やっぱり。

 実は、話しておきたいことがあるの。

 もうすぐ、怪物たちがやってくるの。

 本当よ。嘘じゃないわ。

 このあたりは、その怪物たちによって支配されることが決まっているの。

 だから、どこかに逃げなければいけない。でも、怪物たちはどんなところにだってやって来て、あなたを見つけるでしょうね。そして、ありとあらゆる拷問をあなたにかけて手を叩いて喜んだりするのよ。

 恐ろしい話でしょう。

 私もそう思う。

 でもね、一つだけその怪物たちの手から逃れる方法があるの。

 とても簡単で、どんな人にもできる。

 だけど、先着一名のみなの。

 聞きたいかしら。そうよね、聞きたいわよね。

 教えてあげる。

 この扉を開けてほしいの。

 そしたら、あなたを中に入れてあげることができるわ。

 この箱は魔法の箱で外からの攻撃を一切受け付けないから、絶対に安全なの。

 さあ、開けて。

 嘘じゃないわ。すべて真実よ。

 だって、ほら聞こえてくるでしょう。

 怪物たちの雄たけびが。

 もうすぐあなたのもとに悲劇がやってくるのよ。

 あなたは、今この瞬間に決めなければならないの。生き残るか、死ぬか。

 時間は待ってくれないわ。もちろん、怪物たちも待ってはくれない。

 さあ、決めるのよ。

 この扉を開く勇気があるかどうか、未来を信じることができるかどうか。

 あなたは、今、試されているの。




「あの扉の向こうに女の人がいるみたいなんですけど、誰なんですか」

「魔女さ」

「過去に封印された、あの西の魔女ですか」

「そうだ。ああやって通りがかったヤツに話しかけて扉を開けさせようとするんだ」

「へぇ」

「でも、パターンは二つしかない。私を助けろ、か、お前を助けてやる、か」

「なるほどですね」

「あの魔女はバカだよ。誰かに扉を開けさせるなんて簡単だ」

「なんて言えばいいんですか」

「それはな」

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