第37話 3月17日 廃ゲーマー神

 朝食を済ませ、あやみが病院に出勤すると、暇になったので、


 スモールワールドにいる専属眷属のリヴァイアサンとコキュートスに呼びかけた。


「ねえー、こっちに来て一緒にゲームでもしない?」


「面白そうですね」


 部屋が破壊されないように最小化して、うなぎとザリガニの姿で現れてくれた。


 コントローラーの操作ができるように指があった方が良いので、人化を試みてもらう。


 うなぎは、ぽてっと小太りになって、手足が生えてきた。


 ザリガニも、ぽてっと太って、ハサミが腕になって、尻尾が分かれて足になった。


「うーん、もう少しどうにかならないか?」


 深夜アニメの記憶を念で飛ばし、「こんな風に変身できる?」と聞くと、


「お安い御用です」


 と言うと2体とも想像通りに変身してくれた。美人セクシー高校生コスモデル×2人がここに誕生した。


 先月までの僕なら緊張して話すどころではないが、人間(天使)の僕は全然大丈夫。


 これで召喚獣と気づかれることは無いだろう。


「2体とも上手く変身できたね、これからは2人と呼び変えないとだね。」


「主様に気に入ってもらえて良かったです。」


「主様ぁ、実は、主様のスモールワールドに亜空間越しに昔の旧友が接触してきて、仲間に加えてもらえないかお願いしてくれと言ってきてるのです。」


「誰ですか?」


「ベルゼブブという悪友です。悪魔の中でも悪神に近いので、分神体をレベル1/10で召喚できます。」


「ちょっと待って、一応、僕、人間(天使)なんだけど、おかしくない?」


「いやいや、我々も似たような存在ですから気になさらずとも大丈夫ですぞ」


「うーん、君たちがそういうなら。」


「では、彼に入っていいよと声をかけてみて下さい、スモールワールドに入って来たら、最小化してこっちに来てと呼びかけて下さい」


 言われたままに声をかけると、一匹の蠅が現れた。


「さっそく配下に加えていただき、誠にありがとうございます。殺戮、略奪、非道なことなら何でも請け負います。」


 分神体が眷属になり、皆と同じLv677になった。


「だからー、主様の前ではそういうこと言わないでって、言ったのに。」


「まあまあ、主様が汚れ仕事を請け負うことがあるやもしれんからのー」


「コピー体と分神体とはいえ久しぶりに会ったのだから、みんな仲良くねー。」


「蠅のベルちゃんも人間化してゲームする?」


「私も同じように変身すればいいのですね、えいっ」


 外見が一緒だと紛らわしいけど、実在する人の姿で街に出るわけにはいかないから、あくまでゲームのコントローラーを操作するためだから。

 確か美少女は5つ子まで許されるようだから、3つ子なら全然大丈夫だろう。


 三つ子のTシャツにそれぞれ大きくリヴァ、コキュー、ベルと名前を書いてわかりやすくした。

 皆に1文字増やすと問題になってしまいそうなので、短めの愛称にした。

 自分を入れて4人ともレベルが同じせいか白熱した展開になり、あっという間に時間が経ってしまう。

「主様、スモールワールドに入って時空魔法を使って100倍外界との時間経過を遅くしてみませんか?」


 みんながそういうなら、場所を移そう。


 リビングルームをそのままコピーしてスモールワールドに移転し、ブルートゥースで接続できるようにしたので、100倍楽しめる。朝9時に戻して再スタートだ。


 それから800時間かけて1つのゲームを究めると、時空魔法で朝9時に戻して違うゲームを800時間して、それを500回、1000回とループしていると、いつしか皆のステータスボードに、廃ゲーマー神の称号が追加されていた。

 コピー版や分神体の3人が、これで悪神、魔神に格上げだー、と喜んでいたが、種族が変更されたわけではないので、レベルも強さも変わっていないと思う。


 自分は人間だし、夜のお努めもあるので、いったんお開きにしてもらった。

「また明日ー」

「楽しかったぞよ」

「仲間に入れてくれてありがとう」

「こちらこそゲームに付き合ってくれてありがとう、楽しかったよ」


 と挨拶をして3人ともスモールワールドに帰ったので、晩ご飯の支度を始める。

 

 いつものように夜を過ごし

 僕は天使Lv688、あやみはLv51+Lv25でLv76になった。


 あれ?ゲームのし過ぎでレベルがいつもより10も上がってる。流石に80万時間もやれば少しは上がるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る